欧州委、VAT指令の詳細な改正案を発表

(EU)

ブリュッセル発

2018年06月04日

欧州委員会は5月25日、付加価値税(VAT)指令2006/112/EC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの改正案を発表した。欧州委は2016年4月に正式なVAT制度の実現に向けた指針「VAT行動計画」(関連ブラック ジャック オンライン)を発表。2017年10月に脱税対策とワン・ストップ・ショップ、仕向け地での課税への統一、管理上の負担の軽減を軸とする政策指針PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)とVAT指令改正案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表しており、今回の改正案はさらに技術的な詳細措置を規定するものだ。

条文の約半数を改正

今回の改正案は、次の4点を目標に、VAT指令の400を超える条文の約半分を改正するものとなる。

  1. EU域内国境を越えて事業者間で商品を取引する場合、現行のVAT制度では、出荷地の加盟国でのVAT免除の販売と、仕向け地におけるVAT課税対象となる商品の購入という2段階の処理が必要となり、不正行為の温床ともなっている。越境取引を仕向け地で課税される「課税対象となる単一の供給行為」とすることで、商品は出荷先での課税のみに単純化し、不正行為を防止する。
  2. EU域内で企業間の取引を行う全ての事業者を対象に、VAT手続きのためのウェブサイト「ワン・ストップ・ショップ」の開設を提案。EU域内の企業と取引する域外の企業もVATを処理する域内の仲介者を指名することにより、この制度を利用することができ、従来のような出荷先の全加盟国でのVAT登録は不要となる。
  3. VATの自己管理的な性格を強化し、他の加盟国に商品を販売する域内企業の管理上の負担を軽減する。EU域内国境を越えた商品取引に関する報告義務を不要とする一方、インボイスの発行を出荷地のルールに基づくものとし、販売者の負担を軽減する。
  4. EU域内国境を越える商品取引において、原則、販売者が商品価格に仕向け地の税率のVATを上乗せして徴収・納付することとする。また、「認定課税事業者(CTP)」制度を導入し、購入者がCTPの認定を受けている場合にのみ、販売者でなく購入者がVATを納付できるようにする。

詳細は、欧州委員会発表の改正案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照のこと。

(村岡有)

(EU)

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