中国、米国301条発動への対抗措置を発表

(中国、米国)

北京発

2018年06月20日

米通商代表部(USTR)が6月15日、1974年通商法301条に基づき関税賦課を行う1,102の輸入品目リスト(2018年貿易額ベースで約500億ドル)を公表した(2018年6月18日記事参照)のを受け、商務部は同等規模の対抗措置を6月16日未明に発表した。米国が国際的義務に違反し、中国に緊急対応が必要な状況を作り出したため、自国の合法的な権益を守るため、「対外貿易法」などの法律・法規、国際法の基本原則に基づき、今回の決定に至ったとしている。「保護主義」「一国主義」の米国に対して、中国はあくまで「自由貿易主義」「多国間主義」を維持する立場から対抗措置を展開しているとの主張だ。

まず545品目に25%の追加関税

具体的には、米国から輸入する大豆などの農産物、牛肉、豚肉などの畜産物、自動車、水産物など545品目(2017年対米輸入額約340億ドル)に対して、7月6日から25%の追加関税を徴収する。そして、米国から輸入する化学工業品(エチレンなど)、医療設備、エネルギー製品(原油、潤滑油など)など114品目(約160億ドル)に対しても追加関税を徴収する予定で、最終的な内容と実施時期は別途公表するとした。これら対象品目リストは商務部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

米国は7月6日から、対中輸入額約340億ドル相当(2018年貿易額ベース)の818品目に対して追加関税を課し、今後さらなる審査やパブリックコメントなどを通じて最終的に追加関税を課す約160億ドル相当の284品目を確定するとしており、完全に歩調を合わせた対抗措置になっている。

外交部の陸慷スポークスマンは6月15日夕刻に、「米国が両国で形成してきた共通認識を顧みず貿易戦争を挑んできた」と遺憾の意を表明しつつ、中国は貿易戦争を望まないものの、同規模、同等の影響力を持つ対抗措置を取ると述べていた。また陸氏は、両国間の3回にわたる経済貿易協議の成果が全て無効になったと述べた。

米中両国は5月19日に、中国が米国から農産物、エネルギーの輸入を増加させるなどの措置を取ることで追加関税を停止することなどを盛り込んだ同協議に関する共同声明を発表し(関連ブラック ジャック アプリ)、また6月初旬には3回目の協議も行われていたが、ここへきて先行きが不透明となった。7月6日の第1段階の措置発動前に、両国間で回避に向けた協議が展開されるか、動向が注視される。

(宗金建志)

(中国、米国)

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