東部経済回廊のウタパオ空港周辺に航空都市を開発
(タイ)
アジア大洋州課
2018年06月12日
タイ政府は、産業高度化に向けた国家戦略「タイランド4.0」の下、先端産業における外資誘致を強化している。特に、東部経済回廊(EEC)内にあるウタパオ空港周辺に航空関連企業を誘致し、同地域を航空機やそのエンジン、部品の航空整備(MRO)ハブとする方針だ。6月5日にタイ政府が東京都内で開催したセミナーを基に、航空産業育成の背景や、投資恩典内容について報告する。
増加する旅客数への対応で第3の国際空港を
タイ民間航空局(CAAT)によれば、2017年のタイの年間航空旅客数は1億5,500万人で、2008年(5,700万人)から3倍近くに増加している。また渡航先別の旅客数では、中国(1,655万人)を筆頭に、シンガポール(598万人)、香港(555万人)、そして日本(481万人)とアジアが続いている。さらにCAATは、航空旅客数が今後さらに増加するのに伴い、タイが保有する航空機が314機(2017年)から、811機(2037年)に増えると見込む。
こうした背景から、現在の主要空港であるスワナプーム国際空港の収容能力は限界に近く、同空港および第2の空港であるドンムアン国際空港では拡張計画が進行中だ。しかし、旅客数増加が継続する場合、近い将来に再び収容能力が限界に達する恐れがある。そのため、第3の空港として、EEC内のウタパオ空港を拡張する必要がある。
拡大する航空MRO需要を取り込む
タイでは、航空の整備(MRO)市場も拡大している。現在9憶ドル近いMRO市場だが、国内にMRO産業の基盤・集積がないため、需要の4割しか対応できず、6割はマレーシア、シンガポール、フィリピンなど近隣国で対応しているという。
タイ政府は、今後さらに拡大するMRO需要を取り込むため、投資恩典と規制緩和措置を通じ、ウタパオ空港周辺に「EEC航空都市」を開発、MRO関連企業を集中誘致する。ウタパオ空港の拡張工事の一部は官民連携(PPP)で実施され、入札にかかる仕様書は2018年10月に公開される予定だ。航空産業に対する最新の投資恩典内容は添付資料参照。
(田口裕介)
(タイ)
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