卸・小売りに100%外資での投資を認可
(ミャンマー)
ヤンゴン発
2018年05月22日
ミャンマー商業省は5月9日、卸・小売り分野で100%外資による投資を認める通達(No.25/2018)を公布した。商業省は従来から、外資による貿易業や販売業を原則禁止としており、新車、肥料、殺虫剤、建築資材など、ミャンマーにとって必要な品目については段階的に緩和する政策をとってきた。また、ティラワ経済特区(SEZ)においては条件付きで貿易業が認められている。
商業省は本通達の目的として、小売・卸売業界の競争を促し、価格の安定や商品の選択肢を増やすこと、流通事業におけるサービスの質の向上、公正な競争の確保、中小企業の発展、外資の誘致、ミャンマー人の雇用の確保を挙げている。
同通達では、外資の出資比率と初期投資額の関係についても規定している(表参照)。
同規定では初期投資額は販売用商品の金額で、土地の賃貸料を含まないとする。また、現地調達したもののほか、輸入品についても販売可能で、いずれの州、管区のタウンシップでも事業を行うことが可能だ。
929平方メートル未満のミニマーケット、コンビニエンスストアなどの小売業については、100%ローカル資本の企業のみが実施可能だ。929平方メートルを基準としてローカル資本100%の企業を保護するとともに、それ以上の面積を持つ事業についてはある程度の投資金額を条件として外資へ開放した画期的な通達だといえる。
一定の条件はあるものの、本通達により外資小売りの大規模投資が進むと考えられる。また、本通達のみからは明らかでないが、インターネット販売など、店舗を持たないかたちでの卸売り・小売りの形態が認可される可能性もある。今までローカル企業保護の立場を取ってきたミャンマーが、規制を緩和して外資による近代的な卸売り・小売りを誘致していく方針を示したことは評価されよう。
なお、2018年8月1日から施行予定とされる新会社法によると、外資比率が35%までの会社は内資会社と定義される。本通達以前は、外資比率を35%にして内資会社とし、ローカル資本100%の会社同様に卸売・小売事業を行うことが可能という見解もあったが、卸売・小売事業については本通達に準拠する必要があるので留意が必要だ。
(田原隆秀)
(ミャンマー)
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