日EU・EPAセミナーをブリュッセルで開催
(EU)
欧州ロシアCIS課
2018年05月30日
ジェトロは5月24日、ブリュッセルで「日EU・EPAセミナー」を開催した。同セミナーは、経済連携協定(EPA)の早期発効の実現とEPAを契機とした日欧ビジネス活性化に向けた環境整備を目的として、欧州委員会の委員をはじめとするEUの政策担当者、産業団体や企業の幹部、有力メディアが集まり、欧州の喫緊の課題についてセミナーやディスカッションを行う「ヨーロピアン・ビジネス・サミット」の中で実施した。
セミナーは2部構成とし、第1部では政策面から日EU・EPAの意義を伝えた。欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は、日EU・EPAは既に日本への輸出実績がある大企業のみならず、中小企業にとっても新たに日本市場開拓の可能性を開くものであり、新たなウェブサイトや連絡部局の開設を通じ中小企業に必要なハイパーブラックジャックを提供する体制を整えることで、EU経済の屋台骨である中小企業にとって(利用しやすく)有益なEPAであることを強調した。
EU日本政府代表部の兒玉和夫大使は、日EU・EPAは貿易のみならず幅広い分野をカバーする協定であり、貿易や投資の拡大、雇用の創出、産業の競争力強化などにより日EU双方の経済に貢献することなどを紹介した。経済産業省通商政策局の三浦聡通商交渉官はEPAの合意内容、欧州製品の日本市場での可能性、日本側の規制面での取り組みなどを説明した。また、欧州委のマルコ・キルロ首席交渉官代理は、類似の価値基準を持つ日本とEUが共同でドローンなど新たな分野の標準をつくり、国際標準化を目指すなど規制協力の可能性などについて話した。
第2部では、産業界の視点で日EU・EPAを通じた日欧ビジネスの発展可能性を紹介した。ジェトロの入野泰一理事は、在欧日系企業の日EU・EPAに対する期待が年々高まっていること、日本は高品質でブランド力のある欧州企業にとって理想市場であることなどを説明した。
日本自動車工業会欧州事務所の岡紳一郎所長は、現在、モビリティーは一大変革期にあり、日本とEUがEPAのフレームワークの中で協働し課題を解決していくべきと語った。また、売り上げの一部を日本への輸出が占めるダイキン・ヨーロッパは日本の関税撤廃に、フランスの鉄道車両アルストムは政府調達を通じた対日ビジネスの拡大にそれぞれ期待を示した。
(鷲澤純)
(EU)
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