自動車・同部品の232条調査のパブコメ開始
(米国)
ニューヨーク発
2018年05月31日
米商務省は5月30日、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づき、自動車と同部品の輸入の安全保障調査に関するパブリックコメントの受け付けを開始した。連邦政府の意見募集サイト(DOC-2018-0002)で6月22日まで受け付ける(提出されたコメントへの反論は7月6日まで)。また、本件に関する公聴会を7月19~20日に商務省の講堂で開催する。
公聴会は7月19~20日に開催
商務省は5月23日に、自動車と同部品輸入の安全保障調査を開始しており(関連ブラック ジャック ディーラー)、今回のパブリックコメントは、同調査の参考にする。なお232条の規定では、商務省に対して調査結果と大統領への提言(大統領による対応を求めるか否かを含む)をまとめたレポートを、調査開始から270日以内に大統領に提出することを求めている。大統領は、同レポート受理後90日以内に商務省の決定に同意するかを判断し、同意する場合には、輸入是正措置の内容や期間などを決定する。
雇用や技術開発への影響も対象
パブリックコメントの詳細を記した官報(5月30日)によれば、自動車・同部品の輸入実態、国防上必要な国内生産の規模、外国企業との競争による国内産業のへの影響のほか、国内産業の衰退による失業や政府収入の減少および投資や専門技能の喪失、最先端の自動車技術の開発への影響など幅広い内容を対象にしたものになっている。なお、ウィルバー・ロス商務長官はCNBCのインタビュー(5月24日)で「232条は、経済や雇用への影響などを含む幅広い概念として『安全保障』を定義している。これらは通常は軍事上の安全保障とは直接的には関係ないとみなされるものだが、経済の安全保障なしには軍事の安全保障は保てない」と主張した。
一方、米国の自動車業界や主要ビジネス団体は、安全保障と自動車の輸入を結び付けることを批判する声明を出している(2018年5月25日記事参照)。トヨタ自動車も5月25日のツイートで「自動車輸入に対する関税は米国の雇用を危険にさらし、消費者の負担を引き上げる」と訴えた。
(鈴木敦)
(米国)
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