商用車大手ガズに5カ月の制裁猶予
(ロシア、米国)
欧州ロシアCIS課
2018年05月23日
米財務省外国資産管理局(OFAC)は5月22日、対ロシア制裁措置の対象であるロシア商業車製造大手ガズ・グループおよび子会社について、5カ月の制裁発動猶予期間を設定すると発表した。
新たに発表されたのはOFACの一般許可第15号「ガズ・グループとの取引または既存契約の維持または終了に必要な活動の認可について」で、内容は、4月23日に公表された一般許可第14号でアルミ製造大手ルスアルに対する猶予期間設定措置()と同様。ガズもしくはガズが直接・間接的に50%以上所有する子会社に対して、4月6日以前の契約などの合意により実施される活動の維持、業務終了に必要な全ての活動を、米国東部時間の2018年10月23日午前0時1分まで認める。
一般許可第15号を受け、同第12A号を修正した同12C号が公表され、FAQ(よくある質問と回答)も更新されている。
ガズはロシア・沿ボルガ地域のニジュニ・ノブゴロド市にあり、「ガゼリ」ブランドで知られる商用車のほか、2010年からはメルセデス・ベンツの「スプリンター」、2011年からはフォルクスワーゲン(VW)やシュコダブランドの乗用車も組み立てている。自動車専門調査会社アフトスタトによると、2017年には12万528台(前年比13.6%増、内訳:商用車5万9,222台、乗用車4万8,971台、バス1万2,335台)を組み立てている。製造工程の現地化のためドイツ企業が多額の投資をしているほか、複数の日系企業とも取引がある。米国の制裁対象リストにあるロシア人実業家オレグ・デリパスカ氏が株式の65.56%を実質的に所有している(2018年3月末時点)。
(高橋淳)
(ロシア、米国)
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