ディーゼル車のシェアが急減、第1四半期は38.4%

(スペイン)

マドリード発

2018年04月25日

スペイン自動車工業会(ANFAC)の発表(4月4日)によると、2018年1~3月期の新車登録台数(注)は前年同期比10.5%増の34万311台となった。2018年通年では130万台と予測されている。

タイプ別では、スポーツ用多目的車(SUV)が全体の38.8%を占め、引き続き好調だ。元祖SUVと位置付けられる日産「キャシュカイ」(日本名:デュアリス)は、販売開始から10年を超えた今も8,554台と首位を独走し、全車種のランキングでも3位だった。

今回注目されたのは燃料別のシェアだ。ガソリン車が56.1%(前年同期比11.9ポイント増)、ディーゼル車が38.4%(12.9ポイント減)、ハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)が5.5%(1.0ポイント増)となり、ガソリン車とディーゼル車の形勢が完全に逆転した(表1参照)。従来ディーゼル車は6割近くのシェアを占めてきたが、過去2年で急減し、遂に4割を切った。

表1 新車登録台数の燃料別シェアの推移

ディーゼル車が排ガス不正問題に見舞われた一方で、ガソリン車はエンジンの小排気量化でユーザーの評価が相対的に上昇した。また、主要都市で大気汚染防止のための交通規制が強化されたことで、常時乗り入れ可能なHV・EV車の購入が増加した。規制を商機として、EVを利用したカーシェアリングサービスが相次いで参入したことも、EVの販売急増に一役買った。

代替燃料車の購入補助予算は年々拡大

政府は2016年からEVなどの代替燃料車の購入補助予算を大幅に拡大しているが、業界からは不十分との指摘が相次ぐ。2017年は予算規模が合計3,426万ユーロと前年比で倍増されたが、申請が殺到し1~2日で予算が底をつくなど、旺盛な潜在需要がある。

2017年のHV・EVの登録台数は、それぞれ5万5,741台(前年比79.5%増)、8,645台(82.1%増)の合計6万4,386台と79.9%の急増を示した。政府は2018年も1,660万ユーロの購入補助の実施を予定している。なお、2017年通年の新車登録台数は、前年比7.7%増の123万4,931台だった。

日系メーカー・ブランドの販売台数の合計は18万3,301台で、シェアは14.8%だった。

その他メーカー・ブランド別販売台数やシェアは表2のとおり。

表2 主要メーカー・ブランド別販売台数とシェア(2017年)

(注)四輪バイクや商用車、産業車両も含むが、乗用車が約9割を占める。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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