企業・投資家の優遇ビザ発給が増加

(スペイン)

マドリード発

2018年04月18日

雇用・社会保障省が3月28日に発表した「在留外国人統計」によると、2017年末現在のスペインの在留外国人数は前年比3.6%増の523万7,710人となった。EUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)国籍者の在留資格(注)での在留者数は約312万人(構成比59.7%)、これ以外の国籍者向け在留資格では約211万人(40.3%)となっている。

国籍別の上位を多い順に並べると、ルーマニア(103万人)、モロッコ(77万人)、英国(31万人)、イタリア(28万人)、中国(21万人)となっている。在留者の平均年齢はモロッコや中国がそれぞれ31.4歳、32.1歳と低いのに対し、英国は年金生活者が多いため52.8歳と高い。在留外国人の平均年齢は38.0歳と、スペイン人の43.7歳(2017年)よりも低い。

外国人投資家・高度人材向けのファストトラックビザが増加

スペインでは2013年9月に施行された「起業支援・企業国際化推進法」により、「投資家」「企業内派遣」「起業家」「高度技能人材」などを対象に在留資格認定を迅速化、以前は数カ月かかっていた手続きが、ビザ発給まで10日、在留許可まで20~30日に短縮された。

2017年末時点の同許可による在留者数は2万3,473人で、2016年より45.8%と急増。ここから帯同家族を除いた1万2,578人のうち、半分近くの6,055人を「高度技能人材」が占める。これは、上位ランキング校の経営修士号(MBA)保持者で当地企業に雇用された人材が多い。証券・国債(100万~200万ユーロ以上)や不動産(50万ユーロ以上)への投資が条件の「投資家」は2,905人、進出企業の駐在員などに適用される「企業内派遣」は2,017人となっている。

「投資家」の在留許可は、俗に「ゴールデンビザ」とも呼ばれ、中国人やロシア人が6割強を占める。「エクスパンシオン」紙(4月9日)によると、同許可の発給を通じて累計23億3,200万ユーロの投資を呼び込んだという。

(注)EU28カ国とEFTA4カ国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)の計32カ国の国籍者および家族向け在留登録/許可。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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