KMC、パイプライン拡張計画への支出一時凍結を発表
(カナダ)
トロント発
2018年04月16日
キンダー・モルガン(本社:米国ヒューストン)のカナダ子会社キンダー・モルガン・カナダ(KMC)は4月8日、トランスマウンテン・パイプライン(TMPL)拡張計画に対する本質的ではない活動とそれに関連する支出を一時凍結すると発表した。また、KMCは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州による同プロジェクトへの反対を含めた現在の状況下では、拡張計画に対する追加資金の拠出を約束できないとした。一方で、KMCは拡張計画を進めるため、さまざまな利害関係者と協議を行い、5月31日までに合意したいとしている。
TMPL拡張計画は、2016年11月に連邦政府から認可を受け、オイルサンドを産出するアルバータ州やサスカチュワン州はプロジェクトを支持している。一方で、パイプラインが敷設されるBC州および同州バーナビー市は反対している。
連邦政府は緊急閣僚会議を開催
KMCの発表を受け、連邦政府は4月10日に緊急閣僚会議を開催し、対応を協議した(CBCニュース4月10日)。アルバータ州のレイチェル・ノトリー首相は、プロジェクトを確実に実現させるため、TMPLをKMCから買い取ることを含めて財政支援措置を検討している(「グローブ・アンド・メール」紙4月11日)という。
TMPLは内陸部からの石油製品を運ぶ唯一のパイプライン
TMPLは1953年からKMCにより運営され、カナダ内陸部から太平洋沿岸に石油製品を運ぶ唯一のパイプラインとなっている。総距離は1,150キロ、現在の輸送能力は1日当たり30万バレルだが、計画が完成すると、輸送能力が89万バレルまで拡大する。総投資額は74億カナダドル(約6,290億円、Cドル、1Cドル=約85円)が見込まれている。
(伊藤敏一)
(カナダ)
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