来場者の数・質に優れた格好の商談機会-中東最大医療機器展示会「アラブヘルス」開催(1)-
(アラブ首長国連邦)
ヘルスケア産業課、ドバイ発
2018年03月30日
中東最大の医療機器展示会「アラブヘルス(ArabHealth)」が1月29日~2月1日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された。ジェトロ主催のジャパン・パビリオンには過去最多の23社が出展した。展示会の動向や中東医療市場のトレンド等について、3回に分けて報告する。
150カ国10万人超の関係者が参加
今回で43回目を迎えたアラブヘルスの主催者は、インフォルマ・ライフサイエンス・エグジビション社である。病院設備や予防、治療、診断、リハビリ等に使用する幅広い医療関連製品が紹介された。出展者数は4,200社・団体に上り、新製品の取り扱いを目指す代理店や医療関係者の来場者数は中東や周辺国を中心に150ヵ国・地域以上から10万人を超えたもようだ。39の国別パビリオンが設置され、中核ホールで米国のGEヘルスケア、ドイツのシーメンスヘルスケア、オランダのフィリップス、中国のミンドレイや韓国のサムスン、日本のオリンパスやキャノンメディカル、富士フィルムなど世界的大手医療機器メーカーが大型ブースを構えた。また、湾岸地域の医療従事者の教育等を目的に、最新医療技術を紹介する多数の学術カンファレンスが開催された。1月29日にハムダン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ドバイ副首長兼財務大臣、30日にはムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首長が来場し、UAE保健・予防省や大手企業ブースを視察した。
出展企業数は、1位が中国(636社)、2位がドイツ(410社)、3位が米国(300社)。これらに、英国、UAE、イタリア、トルコ、韓国、インド、フランス、台湾が100社以上の出展社数で続く。日本は57社出展で15位(注)。世界中の国・地域から出展者と来場者が集まるアラブヘルスは、毎年11月にドイツで行われる世界最大医療機器見本市「メディカ(MEDICA)」と並び、医療機器分野においては世界の2大商談機会に位置づけられる。
日本の糖尿病改善やリハビリ関連製品に注目
ジェトロが会場中心部に設けたジャパン・パビリオンには、2011年の出展開始以来最多の23の中小医療機器メーカーなどが日本各地から出展した。出展社は、各国の医師や、「精度の高さ」、「壊れにくさ」、「使い勝手のよさ」で定評ある日本企業の製品の取り扱いに意欲的な代理店に対して製品・技術のPRを行った。また、足の血行促進により糖尿病の緩和効果が期待できるサポーターソックスや糖尿病性足潰瘍のような虚血状態を改善する効果がある人工炭酸泉製造装置、超音波治療器、電位治療器、水素水等健康関連製品、そのほか介護・リハビリ関連製品等、中東で多くみられる健康課題の解決に資する数多くの製品に多くの代理店が関心を寄せた。
ジャパン・パビリオンを訪れた代理店は、中東諸国はもとよりインド、パキスタンなど南アジア、アフリカ、東南アジアなど多岐にわたる。他国が設置したパビリオンに比べ、圧倒的に来場者数が多く、「日本ブランド」への信頼の高さが見て取れた。一方で「欧米などの製品に比べ知る機会が少ない」との声が多く、日本製品をPRする場として、アラブヘルスは適切だ。出展企業からは「中東・アフリカをはじめ、世界中から質の高い多数の来場があり、輸出実現に向け大きく前進した」、「ターゲット地域の有力な代理店候補を複数見つけた」との成果の声が聞かれ、現地企業との商談に出展企業は大きな手応えを感じていた。
なお、中東各国に医療機器を販売するためには、現地の法律上の要件として定められていなくても、欧州の医療機器指令への適合宣言(CEマーキング)の有無を実態として要求されるケースが多い点に留意が必要だ。現地の審査部門の体制整備と能力強化が必ずしも十分でなく、CEマーキングを製品の安全性や有効性の証しとして捉えられる傾向があるからだ。現地代理店にとっても、CEマーキングが完了した製品は、自国の登録手続きを進めるに当たっての安心材料になり、販売先の病院に対しても売り込みやすい。
次回のアラブヘルスは2019年1月28日~31日、同じくドバイで開催の予定だ。
(注)主催者発行の公式企業ダイレクトリーを基にジェトロにて集計。現地法人の出展を含まない。
(宮崎アナスタシア、安藤雅巳)
(アラブ首長国連邦)
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