オンライン ブラック ジャック-
(EU)
ブリュッセル発
2018年01月15日
EU司法裁判所は2017年12月、一律に基準を適用するなどの条件を満たせば、高級ブランドのメーカーがイメージ戦略の一環として流通経路を制限し、一部のネット通販プラットフォームでの販売を禁じることは合法だとする裁定を下した。高級ブランド品の産業団体ECCIAは、この裁定を歓迎する。一方、インターネットサービス分野の業界団体CCIAは、ネット通販プラットフォームを利用した販売禁止が全て合法化されるわけではないと強調した。
「高級品のオーラ」は製品の本質的要素と判断
EU司法裁判所(CJEU)は2017年12月6日、高級品メーカーが認定販売業者に対して、アマゾンなど第三者のネット通販のプラットフォームでの販売を禁止することは妥当だとする裁定を下した。具体的には、高級ブランドの化粧品を製造する米国のコティ(Coty)ドイツ法人が認定販売業者を相手取って、ネット通販大手アマゾンのプラットフォームでの同社製品の販売差し止めを求めた訴訟に対する裁定。訴えを受理したフランクフルト・アム・マイン高等裁判所の要請を受けて、CJEUが今回、裁定を下した。
コティは高級品のイメージを維持するため、同社が所有する一部のブランドを、高級感を示す一定の要件に合った認定販売業者を通じて流通させており、オンラインでの販売も認めている。ただし、第三者のネット通販プラットフォームで同社製品を販売する場合は、そうしたプラットフォームを使用していることが消費者に識別されないことが条件となっており、識別可能なオンライン ブラック ジャック使用を明示的に禁止していた。今回のCJEUの裁定は、コティと認定販売業者との間のこうした契約条件が、EUの競争法に照らして合法か否かを判断したものだ。
この裁定でCJEUは、コティが選択的な流通システムを採用していることは、製品の高級なイメージを維持することを主目的としていると判断。また、小売業者の選定が、一律に適用される客観的な基準に基づいて行われており、かつ、その基準が過剰ではないことから、競争法違反には当たらないとした。特に、「魅力」や「一流品のイメージ」が醸し出す「高級品のオーラ」が製品の本質的要素となっているとし、こうした「オーラ」を毀損(きそん)することは、製品の品質に影響する可能性がある、と指摘した。
さらに、消費者に第三者のネット通販プラットフォームだと識別できるオンライン ブラック ジャック使用を禁止した契約についても、高級なイメージを維持することを目的とし、一律に条項が適用され、目的に対して相応な規定となっていることから、競争法違反には当たらないと判断。コティと認定販売業者の間の契約条項は合法だと裁定した。
コンピュータ通信産業界は小企業への影響を懸念
高級ブランド品の産業団体の欧州文化・創造産業連盟(ECCIA)は「垂直的制限に関する現行規制(注1)と関連ガイドラインを順守した、われわれの商習慣の合法性がさらに明確になった」として、CJEUの裁定を歓迎する声明を発表。顧客の要求に応じた「真のオムニチャンネル(注2)の体験を提供するという、高級ブランドの流通戦略を力づけるものだ」と述べた。
一方、通信やインターネットサービス分野の企業が加盟する、コンピュータ通信産業協会(CCIA)は、ネット通販プラットフォームがEU全域の消費者への販売を可能にしているとして、プラットフォームがデジタル単一市場政策において果たす役割の重要性を強調。CJEUの裁定は、有名ブランドを守る一方で、オンラインでのビジネス展開を図る小企業への打撃となると批判した。
CCIAはさらに、ネット通販オンライン ブラック ジャック使用禁止は、今回の裁定で問題となった高級品だけでなく、ごくありふれた製品でも行われていると指摘。この裁定においては、高級なイメージを相応なやり方で維持することを目的とする場合にのみ、オンライン ブラック ジャック使用禁止は合法だとされたのであり、「全ての製品について、完全にオンライン ブラック ジャック使用を禁止する権限を製造業者に白紙委任するものでは断じてない」と強調した。
(注1)「垂直的制限に関する一括適用免除規則(欧州委員会規則330/2010)」。垂直的取引関係(メーカーと販売店との契約など)における、一定の要件に該当する行為については、一般的に競争法の適用から免除されることを定めた規則。詳細はジェトロレポート(992KB)参照。
(注2)実店舗やオンラインストアなど、あらゆる販売経路や流通経路が統合され、どの経路からでも同様に商品が購入できること。
(村岡有)
(EU)
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