トランプ政権、キューバ制裁強化の新規則の適用を開始
(米国、キューバ)
ニューヨーク発
2017年11月10日
米国政府は11月8日、キューバ制裁強化の新規則を発表した。6月16日付の大統領覚書の内容を具体化したもので、教育関連活動・人的交流の渡航区分によるキューバへの個人渡航や軍関連企業との新規取引の禁止などに係る具体的な規制が示された。新規則は11月9日から適用された。
11月9日から適用、大統領覚書を具体化
新規則(注1)は、トランプ大統領が6月16日に署名した大統領覚書で指示した内容(トランプ大統領、カジノ 無料)を具体化したもので、米国政府の「キューバ資産管理規則(CACR)」と「輸出管理規則(EAR)」について、制裁強化を目的に変更することを軸にしている。同規則は11月9日から適用されている。
財務省外国資産管理局(OFAC)はCACRを変更し、「教育関連活動・人的交流」の渡航区分(注2)による個人渡航を禁止した。トランプ政権はこの項目による個人渡航が、通商制裁改革・輸出促進法に基づき本来は禁止されている観光目的に利用されていると批判してきた。
「キューバ国民の支援」を目的にした個人渡航に関しては、市民社会やキューバ人の政府からの自立の支援などに全ての日程を充てることを条件に、個人宅への宿泊や民間レストラン・店舗の利用を認めている。個人旅行に対する規制強化については、特に大人数に対応する収容力を持たないキューバの小規模事業者が影響を受けるとの批判が強かった。また、2015年4月からキューバで事業を開始している民泊仲介サイトのエアビーアンドビー(Airbnb)など米国企業のビジネスに、負の影響を及ぼすとの懸念が上がっていた。
そのほかOFACは、米国法の管轄権に服する者が「キューバの軍や諜報(ちょうほう)機関の傘下にあり、取引を行えばこれらの機関に偏った利益をもたらす組織(企業・団体)」などと取引することを禁止した。これらの組織(企業・団体)については、国務省が作成したリストに掲載されており、ホールディング会社、ホテル、旅行会社、マリーナ、店舗、防衛安全保障に関わる機関など180の名前が記載されている(リストは定期的に更新される予定)。なお、この規則が発表される前に締結された契約に関しては、対象外となる。
商務省産業安全保障局(BIS)はEARを変更し、国務省が作成した上記リストに掲載されている機関が使用する製品の輸出を原則禁止した(キューバの民主化支援や通信・インターネット普及に関する輸出は規制対象外)。
(注1)新規則の内容の詳細は、OFAC発行の「よくある質問項目(FAQ)」を併せて参照。
(注2)オバマ政権が実施した制裁緩和により、以下12の渡航区分に係る渡航に関しては、一般ライセンス(特別な行政手続きは必要ない)による渡航が認められている。(1)家族訪問、(2)公務、(3)報道関連の活動、(4)専門家による研究や専門家会議、(5)教育関連活動・人的交流、(6)宗教活動、(7)公演、クリニック、ワークショップ、スポーツその他の競技会や展示会、(8)キューバ国民の支援、(9)人道的プロジェクト、(10)私立財団または研究・教育機関による活動、(11)ブラック ジャック 勝率または資料の輸出、輸入、輸送、(12)商務省から許可を受けた輸出取引に関連する旅行。ただし、教育関連活動については2017年11月9日までに、人的交流については6月16日までに旅行に係る支払いなどの取引を行っている場合には、その支払いに基づく旅行は適用除外になる。
(鈴木敦)
(米国、キューバ)
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