ブラック ジャック ディーラー ルールが開催-
(タイ)
ヘルスケア産業課、バンコク発
2017年10月05日
ブラック ジャック ディーラー ルール「メディカル・フェア・タイランド(MedicalFairThailand)」が9月6~8日、タイの首都バンコクで開催された。日本の医療技術・製品の取り扱いを希望する現地医療機器取扱代理店や病院関係者などが多数来場し、日本企業と活発に商談を行った。
66カ国の830社が出展、約9,000人が来場
メディカル・フェア・タイランドは、メッセ・デュッセルドルフ・アジアが主催し、毎年、タイとシンガポールで交互に開催される医療機器展示会だ。今回は、出展者数が66カ国から830社(前回2015年:42カ国から600社)、来場者数が約9,000人(7,226人)で、日本をはじめ18カ国・地域がパビリオンを設置した。出展企業数が最も多かったのは中国パビリオンで、出展者数では日本がその中国に続く。そのほか、台湾、タイ、韓国、ドイツなどのパリビリオンに多くの来場者が訪れていた。また、ロシア、インド、オランダが今回初めてパビリオンを設けた。
展示会場では、医療現場で使われる消耗品や血圧などの測定装置を中心に、つえやインソールなど介護関連製品も展示された。また、同展示会で初めて設けられた「リハビリケアゾーン」には、車椅子、病院用ベッド、高齢者用トレーニング機械などのリハビリ関連製品が並び、IoT(モノのインターネット)とヘルスケアの融合をテーマとする「コネクテッドヘルスゾーン」では、血圧など個人の健康情報を病院が遠隔でモニターできるような最新のアプリやソフトウエアが多数紹介された。
各国の代理店が日本製品に注目
ジェトロが設けたジャパンパビリオンには、日本各地の中小医療機器メーカーなど16社が出展した。ジャパンパビリオンの設置は4年ぶりで、近年のタイ市場への日本企業の関心の高まりを受けたものだ(注1)。顕微鏡などを用いた精密手術用器具や縫合糸、携帯型X線発生装置、消毒綿などの感染対策製品、電位治療器、救急ばんそうこうなど、診断から治療まで、日本の医療現場で長年の利用実績がある特徴的な製品・技術が幅広く紹介された。
ジャパンパビリオンには、タイ、フィリピンなどASEAN諸国をはじめ、インド、バングラデシュなどからも多くの代理店や病院関係者が訪れ、3日間で1,000件以上の商談が行われた。出展した日本企業からは「期待以上の集客があり、タイだけでなく周辺国の代理店候補と多数の商談ができた」「ブルネイ、ラオス、カンボジアなど、今までコンタクトがなかった国からの訪問もあり、新規市場進出に向けて大きな足掛かりとなった」と、今回の出展の成果が聞かれた。ジャパンパビリオンには、他国のブースと比較しても多くの来場者があり、現地企業との商談に出展企業は大きな手応えを感じていた。次のメディカル・フェアは2018年8月29~31日にシンガポールで、2019年9月6~8日にタイ・バンコク市内で開催の予定だ。
医療機器市場は年率15.5%で急拡大の見込み
タイの医療機器の市場規模は、ASEANではマレーシアに次ぐ2位。2014年の12億2,000万ドルから、2019年(予想)には25億ドルへと年率15.5%で急拡大中だ(BMIリサーチ「Worldwide Medical Market Forecast to 2019」を基にジェトロ算出)。
市場拡大の背景には、まずタイにおける高齢化の進展がある。人口に占める65歳以上の割合は、2040年に25.8%と、現在の日本と同様になる見込みだ(国連人口推計)。2040年時点では、シンガポールの29.8%を除くと、マレーシア12.8%、インドネシア11.4%など他のASEAN諸国と比較し、圧倒的に高齢者の割合が高い。高齢化が進む速度も日本を上回る見込みになっている。
また、生活習慣病の拡大も挙げられる。例えば、肥満に着目すると、過体重の目安とされるBMI25(注2)以上に該当する国民の割合は、タイでは18歳以上の29.7%を占める。この割合は、ASEANではブルネイ、マレーシア、シンガポールに次ぐ4位だ。
さらに、1日当たりの塩分摂取量がASEAN最多で、1人当たりの年間平均野菜摂取量は日本のわずか半分にとどまるなど、生活習慣には改善の余地が多くある。こうした背景から、治療に加え、生活改善や健康管理に関する医療サービスなどの需要も期待できる。
タイでの登録新規則運用は2018年ごろか
医療機器を海外で販売するには、現地保健当局への医療機器登録が必要だ。先進国を中心に多くの国では一般的に、機器使用時のリスクの高低に基づく審査が行われている。一方、タイ保健省食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)では、こうした国際的ルールとは異なる独自の機器登録手続きが採用されている(表参照)。
つまり、医療機器の使用目的や現地産業保護などの観点から、タイの機器登録申請においては、最も難しい審査を「ライセンス」取得、続いて「届け出」と分類しており、これらの審査には数カ月から数年を要することもある。ただ、「ライセンス」や「届け出」に該当する機器は限定的で、多くの機器は「一般」と呼ばれるカテゴリーに属し、他国と比較しても、タイでは簡易かつ迅速な審査が行われている。
日本企業は通常、こうしたFDA向けの機器登録申請を現地の代理店を通じて行うため、適格な現地パートナーと組むことで、大きな問題なく対応できているようだ。
こうしたタイの医療機器登録手続きは過渡期にある。タイを含むASEAN各国は、医療機器の申請方式の統一などを図るため、ASEAN医療機器指令(ASEAN Medical Device Directive:AMDD、注3)への署名を2014年11月に行った。これに基づき、リスクに応じた新たな審査方式の導入が見込まれている。
タイFDA医療機器管理部長のユワディ・パタナウォン氏は9月4日、バンコク市内で行われた医療機器セミナー(注4)において、こうした新しい審査方式の導入は遅くとも2018年とし(注5)、既にタイで登録されている製品については、新審査方式への対応猶予期間が機器により最短1年、最長4年で設けられるとの見通しを示した。また新審査方式の下では、現在「一般」に該当する機器でも、その一部については「ライセンス」や「届け出」カテゴリーに再分類され、より審査に時間を要するようになると見込まれる。
既述のとおり、機器登録にかかる審査方式の変更に当たっては、手続きの混乱も予想されることから、タイ市場に本格参入を目指す企業は、新審査方式に変わる前に、早めの現地パートナー探し、機器登録の申請、販路の拡大などを実施することが求められるだろう。
(注1)日本からはジェトロのほか、東京都中小企業振興公社、関西医療機器産業支援ネットワーク、神戸市・先端医療振興財団、福島県などがブースを設け、ジェトロ出展者を含め過去最多の計80社(前回2015年は31社)が出展した。
(注2)BMI(Body Mass Index)は、体重と身長の関係から算出される肥満度を表す指数。
(注3)ASEAN経済共同体(AEC)に向け、特定業種分野での規格・基準の統一化や、相互承認手続き、規制調和などを進める枠組み。
(注4)メディカル・フェア・タイランドに併催し、盤谷日本人商工会議所(JCC)、ジェトロ、在タイ日本大使館、Medical Excellence JAPANが主催したセミナー。
(注5)FDAは新規制の導入時期をめぐり、「近々」とのアナウンスを繰り返しており、今回のアナウンスもあくまで現時点での予定。
(シッチ・アナスタシア、菅野明)
(タイ)
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