ブラック ジャック ブラック クイーン、上級国務相が強調
(シンガポール、ASEAN)
シンガポール発
2017年07月12日
コー・ポークン上級国務相(貿易産業・国家開発担当)は6月19日、シンガポールがASEAN議長国となる2018年に、eコマースを中心にデジタル経済促進に向けたイニシアチブを優先課題の1つとして取り組む姿勢を強調した。ASEAN域内のeコマースを含むデジタル経済規模は、2025年までに2,000億米ドルを超える市場に成長すると予想されている。ただし、決済手段や物流など、eコマース普及に向けた課題も少なくない。
eコマースの取引ルールを簡素化、参入障壁の削減目指す
コー・ポークン上級国務相は6月19日、「シンガポールがASEANの議長国となる来年、eコマースなどデジタル経済に関連したイニシアチブは取り組むべき優先課題の1つだ」と強調した。同相は、他のASEAN加盟国と共に、デジタル・コネクティビティーを推進し、参入障壁の引き下げのため、eコマースに係る貿易ルールの簡素化に取り組む方針を示した。同相の発言は、同日開催されたシンガポール・ビジネス連盟(SBF)とASEANビジネス諮問委員会が共催した「ASEANのデジタル化、成長のための新フロンティアの開拓」と題したセミナーの開催あいさつで述べたものだ。
シンガポール政府系投資ファンド(SWF)のテマセク・ホールディングスと米グーグルが2016年6月に発表した調査によると、ASEANのデジタル経済の市場規模は、2025年までに2,000億米ドルに拡大する見通しだ。このうち、eコマース市場が88億米ドルと最大の割合を占めると見込まれている。米コンサルティング会社ATカーニーによると、ASEANのスマートフォン普及率は約35%。スマートフォンを中心とする携帯電話の急速な普及も、eコマース市場拡大を後押ししている。
急成長するASEANのeコマースには課題も多く
シンガポールに本社を置くスタートアップ企業、SEA(旧ガレナ)がeコマースに参入したのは2015年だ。同社のeコマース部門、ショッピー(Shopee)で取引される商品の総流通額(GMV)は2017年3月時点で30億米ドルと、参入後わずか2年で急成長を遂げている。ショッピーは2017年7月時点で、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、台湾、中国・深センの計8カ国・地域で展開している。SEAのニック・ナッシュ社長が前述のセミナーで語ったところによると、ショッピーが受けた注文の94%は同社の携帯アプリを通じたものという。
成長の著しいeコマースだが、課題も少なくない。ナッシュ社長はASEANでeコマース事業を拡大する上での障害として、(1)銀行口座を持たない人が多いため、オンライン決済手段の不備、(2)中小企業向けの小口融資の不足、(3)国内物流網の未整備、の3つを挙げている。2012年からシンガポールに本社を置き、ASEANを中心に8カ国・地域で衣料ファッションを販売するeコマース会社ザローラでは、同社で販売した商品の35~45%を現金引き渡しが占め、現金で買い物する消費者が依然多い。また、ザローラは域内の物流網が未整備なため、2017年3月にマレーシア・クアラルンプールに地域供給センターを設置するなど、自前で物流網の構築を進めている。
さらに、eコマースへの相次ぐ参入により、企業間の競争も激しさを増している。インドネシア国営通信会社テレコムが米イーベイと合弁で設立したeコマース会社ブランジャが2014年末にインドネシアでサービスを開始した際、既に競合相手が10社に上っていたという。ザローラのパーカー・グンダーサン最高経営責任者(CEO)は同セミナーで、「(eコマース市場は)新しい市場のため、初期段階では成長を達成するのは容易だが、黒字化し、長期的なユーザーを獲得するのは難しい」と指摘した。
デジタル経済推進に向け、各国が取り組み
一方、シンガポール政府は、中小企業のeコマース参入への支援を強化している。政労使代表からなる未来経済委員会(CFE)が2017年2月に発表した、向こう10年間の新経済戦略で、中小企業のデジタル技術導入のための資金や技術面で強化していく方針を示した(関連ブラック ジャック web)。
シンガポール以外のASEAN各国もブラック ジャック ブラック クイーンの普及にそれぞれ取り組んでいる。インドネシア政府は2016年11月、eコマースのロードマップを策定した。この中で同政府は、インドネシアのeコマース市場の取引規模が1,300億米ドルに達するとの予測を明らかにしている。また、マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC、旧マルチメディア開発公社)は2016年11月、「国家eコマース戦略ロードマップ」を発表し、2020年までにeコマースが同国GDPに2,110億リンギ(約5兆6,970億円、1リンギ=約27円)の貢献をするとの目標を設定した。マレーシア政府は2017年3月には、クアラルンプール国際空港(KLIA)の近接地をeコマースの自由貿易区とする新イニシアチブ「デジタル自由貿易区(DFTZ)」を発表した。このほか、フィリピンやベトナム政府もeコマースに関するインフラや規制の整備を図っており、ASEAN各国はeコマース普及を支える体制づくりにそれぞれ取り組んでいる。
(本田智津絵)
(シンガポール、ASEAN)
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