鉱業憲章の改正、業界の反発で一時停止に-黒人優遇の促進で鉱業ビジネスに暗雲-
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2017年07月19日
モセベンジ・ズワネ鉱物資源相は6月15日、南ア鉱業会議所との調整未了のまま、鉱業憲章の改正に踏み切った。南アにおける鉱業ビジネスの存続を危惧する鉱業会議所は、改正差し止めを求めて高等裁判所に提訴するかたちで対抗した。これを受け、ズワネ鉱物資源相は7月14日、判決が出されるまで改正憲章の施行を一時停止すると発表した。こうした一連の動きは産業界に混乱をもたらし、低成長にあえぐ南ア鉱業事業に、一層の暗雲が立ち込めている。
ブラック ジャック 攻略に広がる動揺
鉱業憲章は、アパルトヘイトなどにより歴史的に不利益を被ってきた南ア国民に対して鉱山権益の移転を促す目的で2002年に制定されたもので、2010年の改正を経て、今般の改正に至っている。ズワネ鉱物資源相は6月15日、鉱業部門における経済的格差の解消、とりわけ黒人の経済力向上を加速する措置として、ブラック ジャック 攻略に踏み切った。2017年2月の「マイニング・インダバ」開幕スピーチでの宣言(2017年3月までに公布)よりは遅れたものの、大方の予想を裏切る早いタイミングでの改正となった(鉱物資源相の「3月までに鉱業憲章を改正」発言が波紋呼ぶ-ケープタウンで「ギャンブル)。
2016年4月に突如として改正案が提示されて以降、鉱業事業者からは同案の下での操業継続の可能性に対する懸念が示され、鉱業資源省と鉱業会議所との間での調整が試みられてきたが、最終的には鉱物資源省が鉱業会議所を振り切るかたちとなった。
ブラック ジャック 攻略公布直後から、ヨハネスブルク証券取引所では動揺が広がり、鉱山大手アングロ・アメリカン・プラチナが6月15日に7.18%下落したのをはじめとして、鉱業銘柄は軒並み大幅に下落した。
黒人の保有株比率を引き上げ、配当も優先
今般の改正において、黒人への分配を加速するものとしての象徴的な措置は、権益保有会社の所有権に関する規定の改正だ。従来は、探鉱権保有会社、鉱業権保有会社ともに、その株主資本の26%を黒人(注)の保有とすべきとされていた。今回は、新規の権益保有会社と既存の権益保有会社で、異なる規定が設けられた。
既存の探鉱権保有会社と鉱業権保有会社については、その株式資本の30%を黒人保有とすべきとされ、ブラック ジャック 攻略から12カ月以内にこの比率を達成すべきとされた。新規の探鉱権保有会社については50%+1(議決権)を、新規の鉱業権保有会社については30%を黒人保有とすべきとされた。また、これらの会社については、毎年の売上高の1%を他の株主に優先して黒人に配当すべきとされた。
所有権規定の改正に関しては、黒人保有比率の引き上げ(26%→30%)よりもむしろ、黒人保有比率を永続的に維持すべきかどうかという点が、改正案の公開当初から争点となってきた。初期に割り当てを受けた黒人が株式を売却した場合、黒人保有比率を維持しようと思えば、会社側は新株発行増資で応じることになり得る。黒人保有比率の維持は、永続的な株式希薄化を招き得るため実現可能性が低いとして、鉱業事業者から反発を招いていた。今般の改正は、この点について部分的にあいまいではあるが、黒人保有比率の永続維持を求めていると解釈でき、鉱業事業者の懸念は十分に考慮されていない。
また、毎年の売上高の1%を優先的に黒人に配当することとした場合、2016年の売上高を基にした鉱業会議所の試算によると、配当可能金額の95%を株主構成比30%の黒人に配当することになり、残り70%の株主に対する配当余力がなくなると、その影響の大きさを強調している。
鉱業会議所は矢継ぎ早に声明、施行阻止を狙う
改正鉱業憲章が改正されることが濃厚となった6月14日から、鉱業会議所は矢継ぎ早に声明を発している。同憲章の改正プロセスにおいて、鉱業事業者と十分な調整が行われなかったと手続き面の瑕疵(かし)を非難しつつ、法的手段に訴える準備を進めた。6月26日には高等裁判所に、同憲章の施行阻止を狙い、緊急差し止めを訴えた。また、上述の試算を含め、同憲章のインパクトを算出しており、直接雇用5万~10万人、間接雇用10万~20万人が失われると南ア経済への悪影響を指摘した。過去数年の資源価格低迷で苦しんできた南ア鉱業界にとって、今回の改正鉱業憲章がさらなる重しとなることは確実で、事業存続に暗雲が立ち込める。鉱物資源省が望む、黒人が潤うような結果を得るのは難しいのではないか、とみられている。
裁判所は当初、7月に公聴を行うとしていたが、7月14日にズワネ鉱物資源相がブラック ジャック 攻略を裁判所の判決が出されるまで一時停止すると発表したのを受け、公聴は9月に延期された。
(注)正確には、「歴史的に不利益を被ってきた南ア国民」。今般の改正により、「歴史的に不利益を被ってきた南ア国民」は「黒人」に置き換えられている。
(石ヶ休剛志)
(南アフリカ共和国)
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