中古設備の輸入、製造から10年以内なら許可-日本海事検定協会に船積み前鑑定の現状を聞く-

(ベトナム)

アジア大洋州課

2017年02月08日

 2016年7月1日に施行された科学技術省の通達により、中古機械・設備・技術ライン(以下、中古設備)の輸入は、外国直接投資(FDI)プロジェクトに関連し一定の要件を満たす場合を除き、原則として製造から10年を超えず、安全・省エネ・環境保護に関するベトナムまたはG7の基準に適合している場合のみ輸入が認められることとなった。同通達で、輸出国における中古設備の鑑定が推奨されており、日本の鑑定機関としては日本海事検定協会が認定されている。同協会の検査第一サービスセンターインスペクションチームリーダーの原田崇氏に中古設備の対ベトナム輸出の現状を聞いた。

<10年超の設備はほとんど許可されず>

 日本海事検定協会の原田氏によると、科学技術省の通達23/2015/TT-BKHCN(注)が施行された2016年7月1日以降、同協会が実施した船積み前鑑定は合計75件(2017年1月20日時点)に達するという。鑑定対象となった設備の種類は、工作機械、プラスチック成型機、金型、繊維関連(織機、ミシンなど)が多いという。また同氏は「当会のサービス開始当初は、ベトナム税関から証明書の内容に対する指摘や、追加資料の提出要請などがあったが、今では現地輸入通関が円滑に行われるようになった」と話す。

 10年を超えた中古設備については当該通達13条に、「企業が製造・事業を維持するために使用期間が10年を超えた中古設備を使用する必要がある場合、企業の書類および要請に基づき、科学技術省は関係機関との協議の上で決定を行う」とあるが、同通達の施行後、「当会が関わった案件で10年超の中古設備の輸入が許可されたのは2件のみ」(同氏)と、ほとんどが許可されていない。

<中国やタイなどの日系工場から設備移管が増加>

 日本だけでなく第三国からベトナムへの中古機械の輸出実績では、「中国やタイ、マレーシアなどの日系工場からベトナムへの設備移管が多くなっている。依頼企業の中には、中国工場の生産機能のほぼ全てをベトナムに移転するというケースもみられる」と同氏は説明する。中古機械輸出の観点から、東アジアにおける日系企業の生産動向も垣間見える。

<経過年数には今後も注意が必要>

 日本海事検定協会が関わった案件では製造から10年を超えた中古設備で輸出できたケースは数例にとどまっており、今後も経過年数に注意が必要だ。実際、進出日系企業によると、製造から20年以上経過してもまだ十分使える生産設備を、日本からベトナムの製造拠点へ移管しようと試みたが、結果としては上記通達の条件に合う設備(製造後10年以内のもの)を輸入するよう科学技術省から連絡があったという。

(注)同通達の概要は中古機械の輸入規制に年数制限を導入-原則10年以内、外国直接投資プロブラックブラック ジャック トランプ参照。

(小林恵介)

(ベトナム)

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