100品目超の輸入関税率を引き上げ

(モンゴル)

北京発

2016年05月19日

 産業省は4月に、14分類、29項目の100品目を超える輸入品の関税率を引き上げた。2015年8月にも引き上げを行っており、国内産業の保護と振興を目指す政策の一環だ。

<産業省を新設し国内産業を振興>

 近年、政府は産業保護・新興を目的とした積極的な政策を取るようになった。アルタンホヤグ内閣(20122014年)は国債を増発し、その資金をセメントや乳業などの生産分野に投入した。サイハンビレグ内閣(201411月~)は、産業省を新たに発足させ、20152030年の長期産業政策の方針を発表し、産業振興法を成立させた。その第1段階として国内産業の保護、原料の加工業・輸入代替業分野の発展を目指す中間戦略を策定した。エルデネバット産業相は、2016年を国内生産・販売を促進する年とした。

 産業省は今回の関税率引き上げに当たり、20158月の関税率引き上げによって国内で輸入代替品の生産が増えるなど、プラスの効果が出たことを挙げた(添付資料参照)。セメントや蜂蜜、牛肉といった関税率引き上げの対象となった商品について、825億トゥグルク(約41億円、1トゥグルク=約0.05円)の輸入相当分を国内生産に代替できたという。

 モンゴル経済は鉱物資源価格の下落による打撃を受けつつも、国内生産・輸出に明るい兆しがみえてきている(図1参照)。鉱山業の不調が続く中、加工業のGDPに占める割合が緩やかながら増加し、2014年からは黒字貿易が続いている(図2参照)。

図1 輸出入額の推移
図2 GDPに占める加工業の割合

<国内生産だけで需要に対応可能>

 産業省は、今回の関税率引き上げの対象となった品目について、国内生産のみで需要に対応できるとみている。なお、日本からの輸入品については、201667日に日本・モンゴル経済連携協定(EPA)が発効するのを受け、部分的には関税率が引き下げられる。

 なお、4月の引き上げについては、モンゴル産業省のウェサイトを参照。

(バザルスレン・ボロルエルデネ)

(モンゴル)

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