米ウィンドスターLPG、ソノラ州にターミナル建設へ-自由化に伴い民間事業者初の輸入始まる-
(メキシコ)
メキシコ発
2016年04月04日
米テキサス州エルパソに本拠を置く液化石油ガス(LPG)流通のウィンドスターLPGは、メキシコのソノラ州エルモシージョに700万ドルを投じて貯蔵施設と配送工場からなるターミナルを建設し、米国から輸入したLPGをメキシコ北西部に流通させる事業を展開すると発表した。石油公社PEMEXが独占していたLPGの輸入が2016年初めから自由化されたことに伴い、初の民間事業者による輸入が始まることになる。ただし、販売価格の自由化は2017年からとなる。
<貯蔵能力は250万リットル>
報道などによると、ウィンドスターLPGはソノラ州の州都エルモシージョ中心部から4キロほど離れた場所で、33ヘクタールほどの用地にターミナルを建設する。容量25万リットルのタンクを10台設置することで、計250万リットルの貯蔵能力を持つという。同社メキシコ代表のアニセト・エルナンデス・ガジョッソ氏は「基本的に貨物が到着してもすぐに、最終目的地向けに積み替えられていくので、満杯になることはほとんどない」としている。LPGは米国から鉄道で輸入する。「ソノラ州の北部国境山岳地帯などは、冬季になると(凍結などで)道路が閉鎖されることがある。タンクローリーには向かないため、鉄道輸送を選んだ」と述べた。
このターミナルからは、ソノラ州全域ならびに北部太平洋岸地域に配送が可能だという。同社オペレーション部長のエドワルド・ゴンサレス氏によると、エルモシージョのターミナル建設で106人の雇用が生まれており、操業が始まれば、直接雇用で約200人、間接雇用で300人程度の規模になるとしている。
ウィンドスターLPGは2005年の創立で、LPGの流通事業を手掛け、主にメキシコ北部や米テキサス州南東部、カリフォルニア州南部で事業を展開している。
<価格の自由化は2017年から>
これまでPEMEXの独占だったLPGの流通は、2013年12月20日公布の憲法改正と2014年8月11日に公布された一連のエネルギー改革関連法により、段階的な開放が定められた(表参照)。輸入の自由化については、ガソリンやディーゼル燃料よりも前倒しで2016年初めからスタートした。価格についても、1年早く2017年からの自由化が定められている。エルナンデス代表は「最終消費者にメリットを感じていただくには、2017年を待つ必要があるだろう」としている。
(中島伸浩)
(メキシコ)
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