実写 版 ブラック ジャック

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2016年03月28日

 中東地域最大の食品産業見本市「ガルフード(Gulfood)2016」が2月21~25日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された。ジェトロは3年続けてジャパンパビリオンを設置し、日本の「ハラール和牛」、健康食品・サプリメント、緑茶、生鮮果実やみそ、しょうゆなど調味料を展示した。特に、前年に続いて出品した和牛に加え、伝統的な日本食でアルコールフリーのフリーズドライみそ・しょうゆ、茶などに、予想を上回る反響があった。

<日本からは27社・団体が出展>

 「ガルフード2016」は中東地域最大の食品・食品機材見本市で、今回で21回目。出展企業は117ヵ国・地域の5,000社以上、来場者は約160ヵ国・地域から9万人を超え、いずれも過去最多となった。近年、原油価格の低迷により経済成長が鈍化傾向にあるものの、ドバイ市政庁食品局によると、食品の輸入額は伸びており、2015年は過去最高を記録したもようだ。高所得者層や観光客が集うドバイでは食品関連市場が年々拡大しており、こうした動向は同見本市に直接的に反映されている。

 同見本市では、地元UAE386社のほか、欧米諸国ではイタリア238社、スペイン226社、米国182社、英国127社、ドイツ124社、フランス110社、オーストラリア77社、カナダ46社、近隣ではインド226社、トルコ154社、エジプト144社、イラン55社など、アジア諸国からは中国160社、タイ140社、マレーシア74社、韓国45社、フィリピン25社、インドネシア25社、ベトナム24社など、多くのナショナルパビリオンと企業の出展があった。各国とも中東湾岸諸国の市場開拓に長期的な視点から、展示会において一定規模を維持した出展を継続している。

 ジェトロは日本産食品の輸出促進支援活動の一環として、農林水産省の補助金を受け、2006年に初めて日本ブースを設置して以降、通算で4回目の参加となった。今回は、和牛(イスラム教徒向けに処理されたハラールの和牛)、健康志向の食品・サプリメント、茶、生鮮果実や調味料などが27社・団体から約100品が展示された。それぞれの商品には予想を上回る反響があり、会期中に109ヵ国・地域から2,700人がジャパンパビリオンに来場・試食した。合計で3,500件の商談が行われるなど、ドバイが中東地域を超えた広い商圏のハブであることが再認識された。

<和牛の試食でにぎわったジャパンパビリオン>

 特に、関心を集めたのは中東市場向けの「ハラール和牛」だ。中東にはさまざまな国から牛肉が輸入され、特に多いのがオーストラリアからだ。2014年には約6万トンの牛肉が輸入されて、その半分がサウジアラビア向けだった。UAEには約9,000トンの牛肉(「Wagyu」を含む)が輸入されている。日本産和牛は、2014年には2.7トン程度のごく少量が単発的にホテル・レストラン用に輸入されていただけだったが、2015年は8.9トンと3倍強に急伸している。この背景として、200812月にUAEへの日本産和牛の輸入が承認されたことがあり、20152月の「ガルフード2015」ジャパンパビリオンに日本の和牛が初出展され、その味と品質の良さへの反響の大きさから当地での引き合いが多くなり、輸入が増えたものとみられる。また、日本の輸出体制整備の一環として、日本畜産物輸出促進協議会が201412月に設立され、関係企業や団体が一体となって日本からの和牛の輸出振興に取り組んでおり、今後も着実に輸出が増加していくと見込まれる。

実写 版 ブラック ジャック

 今回のジャパンパビリオンには、和牛を取り扱う6社・1団体が出品し、多くの来場者が試食した。和牛は、当地の市場に広く流通しているオーストラリア産などに比べて、柔らかく、味が良いと好評を博したことから、各社とも市場への本格参入への手応えを得たようだ。また、みそとしょうゆについては、アルコールフリーの製品がホテルやレストラン関係者らの注目を集めていた。高品質で健康志向のサプリメントや発酵飲料、食品の企業担当者は、多くのバイヤーを引きつけた反響をいかにビジネスに結び付けることができるかが今後の課題だ、と語った。

 日本産和牛は他国産より高価なため、中東市場の開拓は難しいのでは、という見方もあった。しかし、見本市では高級ホテルなどに販売ルートを持つ企業の購買担当者らが、高い価格にもかかわらず調達に意欲を示していた。引き合いに応じた担当者は「これほど反応があるとは想像していなかった。価格では他国産と競争できないが、味と品質を知ってもらい、日本産ブランドの価値を高めればドバイ市場でも通用するかもしれない」と話す。近年増加しているアジア諸国への輸出と同様、中東でも富裕層を対象とし、味と品質で評価を得れば、日本の技術でしか作れない「価格を超える価値のある食品」が、中東市場を開拓できる可能性は高い。

(中尾純二)

(アラブ首長国連邦)

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