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(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2015年12月18日
ロシア政府は12月10日、政府が指定する医薬品の公共調達において、ユーラシア経済連合(EEU)加盟国を除く外国製品の参入を制限する措置を導入した。2月に医療製品に同様の措置が取られており、医薬品も含めた医療分野で輸入代替政策を推進する意図があるとみられる。
<EEU加盟国の製品を優遇>
外国製品の参入が制限される対象の医薬品は、「生活に不可欠かつ重要な医薬品(以下、必須医薬品)リスト」に含まれる品目。公共調達の入札要件を満たすEEU加盟国製品の応募が2件以上あった場合、外国製品の応募は却下される。EEUにはロシアのほか、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスが加盟する。2品目以上の医薬品を調達する入札では、原産国の1つにEEU加盟国以外の外国が含まれる応募も却下の対象となる。
この参入制限措置は、2015年11月30日付連邦政府決定第1289号「国および地方自治体の調達における生活に不可欠かつ重要な医薬品リストに含まれる外国を原産とする医薬品の参入制限および条件について」で規定された。
必須医薬品リストは、ロシア政府によって制定されており、年に1回程度改定されている。2015年版は2014年12月30日付連邦政府指示第2782-r号で定められている。ロシア新聞(12月2日)によると、2015年版リストには608品目が含まれ、うち282品目が2社以上の国内メーカーによって生産されているため、これらの品目が今回の外国製品参入制限措置の対象になる可能性があるという。
ベロニカ・スクボルツォワ保健相は「ロシア1」のインタビュー番組(12月12日)で、「国内では生産されていない外国製医薬品なしでやっていくつもりではない。いかなる外国製品に対しても市場を閉じる意味ではないし、公共調達に関わるもののみだ。公共調達において外国製品と同等の品質、効能、安全性を持つ医薬品を生産できる国内メーカーが少なくとも2社ある場合、外国メーカーの参入を認めないようにする」と、導入の趣旨を説明した。
<医療製品の参入制限効果は限定的>
医療分野では同種の措置として、特定の医療製品を対象にした外国製品の公共調達への参入制限を2015年2月に導入済みだ(2015年2月24日記事参照)。
医療調査会社メディテックスのアンドレイ・ビレンスキー社長は12月9日に開催された医療関係の会議で、外国製医療製品の参入制限措置に伴う輸入の減少はみられないとし、「(参入制限措置は)効果がなく、措置導入後の公共調達の20%しか該当していない」と述べ、2016年に何らかの改正が必要と提言した(専門誌「ワデメクム」12月9日)。今回の医薬品を対象とした措置も、医療製品の際と同様に、国内市場の保護、国民経済の発展、国内生産者の支援などを目的とする法律を、導入の根拠に挙げている。
(浅元薫哉)
(ロシア)
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