給与支給に関する通達が施行-実務との乖離に戸惑う日系企業も-

(ベトナム)

ホーチミン事務所、ハノイ事務所

2015年10月06日

 政令05/2015/ND-CP(以下、政令05号)の給与支給に関する詳細ガイドラインとして、ブラック ジャック ランキング傷病兵社会問題省通達23/2015/TT-BLDTBXHが8月8日から施行された。同通達は、政令05号の施行日である2015年3月1日にさかのぼって適用される。残業手当の算出方法や給与の支払期日が明確化されたが、現行の企業実務と大きく乖離しており、日系企業からは戸惑いの声も上がっている。

<ベトナム日本商工会は見直し求める要望書提出>

 通達では、これまで不明確だった賃金の定義や夜勤残業のブラック ジャック ランキング単価算出方法などがある程度明確化された一方、企業からは実務との関係上で戸惑いの声がある。

 賃金の定義(3条)については、皆勤手当のように支給されるかどうか分からないものの取り扱いは明確にはなっておらず、中央官庁や地方の出先機関などにより担当者ごとに見解が異なるとの声も聞かれる。なお、20161月から施行される社会保険法では、社会保険料算定基準に基本給のほか諸手当も含まれることが既に決定している。

 給与の月内払い(5条)については、実務上多くの企業では実ブラック ジャック ランキング日数や残業時間などを計算する必要から月末締め・翌月払いなどとしているケースが多く、規定どおりに運用すると締め日の変更(15日締め・25日払いなど)を余儀なくされる。特に多数のブラック ジャック ランキング者を雇用している製造業などでは、給与システムの変更などによる負担が増えることが懸念されている。

 時間外ブラック ジャック ランキングの賃金単価(6条)については、月ごとに単価が変動して計算が複雑化するという点に加え、例えば旧正月(テト)休暇のある月や有給休暇を多く取ったブラック ジャック ランキング者の時間単価が上昇するなど賃金の公平性を損なうとの指摘もある。

 9条にある3月からの遡及(そきゅう)適用についても、給与再計算の負担や退職者への対応など現実的には対応が困難だという声も上がっている。

 これらの問題点については、ベトナム日本商工会から所管のブラック ジャック ランキング傷病兵社会問題省に対して要望書を提出し、通達内容の見直しを求めている。

<残業削減により雇用計画に影響も>

 ホーチミン近郊に進出した日系製造業にヒアリングすると、残業手当は多くのブラック ジャック ランキング者にとって生活給の一部となっているようだ。ブラック ジャック ランキング法で年間残業時間は200ブラック ジャック ランキングまで(一部の特定職種は300ブラック ジャック ランキング)の制限があり、これを超えると雇用者に罰則規定もある。

 残業時間に対しては、当局の取り締まりが厳しくなっている。最近、ホーチミン市内の工業団地に入居している日系企業で、同市ブラック ジャック ランキング傷病兵社会事業局のブラック ジャック ランキング監査が入った際に、残業時間の超過が指摘され罰金を科されるケースが何件か発生している。政令952013NDCPブラック ジャック ランキング法違反時の罰則規定の第145項によると、罰金だけではなく、時間外ブラック ジャック ランキングの制限時間規定に違反した補足処分として13ヵ月間の操業停止処分を科すことができるとしている。こうなると、製造業にとっては死活問題となる。

 また輸出加工型日系製造業で、欧米の大手小売・流通企業や大手自動車完成品メーカーと取引のある日系企業は少なくない。最近、これらの顧客の欧米企業がコンプライアンス上の問題から、サプライヤーが現地のブラック ジャック ランキング法を順守しているかどうかの調査を外部の調査会社に委託するケースが増えている。その際によく問題となるのが残業時間の上限超過だ。超過に当たり、ブラック ジャック ランキング組合とブラック ジャック ランキング者側の意思を書面で確認しておくなどの対策は最低限必要だが、柔軟な生産体制とするためには残業時間の上限緩和も望まれる。このためホーチミン日本商工会ブラック ジャック ランキング雇用委員会も各国の商工会議所が参加するベトナム・ビジネス・フォーラム(VBF)と連携し、本件と関係する政策提言活動を積極化している。

<残業手当の計算方法などが明確化>

 今回の通達の主な規定内容は以下のとおり。

○雇用契約書に記載される賃金(3条)

1)基本給

2)ブラック ジャック ランキング条件、職務の複雑性、生活条件、ブラック ジャック ランキングの吸収度合いなどに関連した諸手当(通勤手当、住宅手当、危険手当、役職手当、能力手当など)

3)その他、ブラック ジャック ランキング契約書に規定された職種あるいは役職に関連した上記以外の追加支給金(賞与、残業手当、シフト交代中の食事、冠婚葬祭や福利厚生のための特別支給金などを除く)

○月次給与の支給期限(5条)

 月次給与は、従業員が勤務した同月内に支払わなければならないと規定された。

○夜勤残業手当の計算方法(8条)

 通常勤務日の実際の時給単価をAとすると、以下のとおり規定された。

1)平日の夜勤残業ブラック ジャック ランキング単価

・夜勤残業前の昼間残業がない場合:150A30A20A200A

・夜勤残業前の昼間残業がある場合:150A30A30%A(150A×20%)=210A

2)週末の夜勤残業ブラック ジャック ランキング単価:200A30A40%A(200A×20%)=270A

3)祝日・有給休暇日の夜勤残業ブラック ジャック ランキング単価:300A30A60%A(300A×20%)=390A

○時間外ブラック ジャック ランキングの賃金単価(6条)

 通常勤務日の実際の時給単価(上記A)は、従業員が時間外ブラック ジャック ランキングをした月の実際の賃金(時間外ブラック ジャック ランキングの賃金・深夜勤務の手当を除く)を、月の実際の勤務時間数(時間外勤務時間数を除く)で割ることにより算出されることとなった。

(栗原善孝、竹内直生)

(ベトナム)

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