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(アルジェリア)
パリ事務所
2015年08月19日
上半期の貿易収支は77億8,000万ドルの赤字を記録し、前年同期の黒字から一転した。主要輸出品目である石油や天然ガスの価格下落で輸出額が大幅に減少したことが主因だ。政府は貿易収支の改善に向け、輸入ライセンス制度を導入することを定めた新法を発表するなど、輸入規制強化策を相次いで打ち出している。こうした動きを2回に分けて報告する。前編は輸入ライセンス制度の導入について。
<上半期の貿易収支が赤字に転落>
アルジェリア税関当局が発表した2015年上半期の貿易収支は、77億8,000万ドルの赤字となり、前年同期の32億ドルの黒字から大幅に悪化した。輸出額は192億8,000万ドルと前年同期比42%減、輸入額は10%減の270億7,000万ドルだった。輸出の大幅減は、総額の94%を占める炭化水素(石油・天然ガス)が2014年上半期の321億4,000万ドルから180億9,000万ドルへとほぼ半減したことに起因する。
石油の輸出減少は2014年6月以降の原油価格の下落によるものだ。アルジェリア銀行によると、同国産原油の平均価格は、2014年第1四半期の1バレル当たり109.55ドルから2015年第1四半期には54.31ドルへと半額になった。貿易赤字の急増により、アルジェリアの外貨準備高は、2014年12月の1,789億3,800万ドルから2015年3月には1,599億1,800万ドルへと3ヵ月で190億2,000万ドル減少した。報道では、このペースが続けば外貨準備高は15ヵ月で底をつくだろうという見方も出ている。
原油輸出などで得られた収入の余剰分が投入されてきた政府系ファンド「歳入調整基金(FRR)」が貿易赤字を補填(ほてん)することになるが、現在の赤字ペースが続いた場合、2017年5月には基金も底をつくと指摘される。
<セメントや自動車などが規制対象品目の候補に>
こうした状況下、政府は国内産業の保護や輸入規制の姿勢を明確にしている。2003年7月に発効した輸出入に関する行政命令を改正・補填するかたちで、2015年7月15日付第15-15号法により、通関に際して製品の輸出・輸入ライセンスの事前取得が義務付けられた。
輸入ライセンスの対象品目および施行の詳細については、同法の施行細則の発効を待たなければならないが、対象品目に関しては、貿易収支上、輸入をできるだけ抑えたい約20品目が対象となると報道されており、特にセメント(年間輸入額約6億ドル)、飼料(約16億ドル)、自動車(約60億ドル)などが挙げられている。アマラ・ベンユネス商務相は8月4日に、「商務省、財務省、産業・鉱山省、農業・農村開発省が集まり、輸出入ライセンス発行管理の担当省庁間委員会が近日中に設けられる」と発表した。委員会がライセンスの対象品目のリストを公開する予定だ。
(渡辺智子)
(アルジェリア)
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