アレルギー物質の食品表示義務を強化
(ブラジル)
サンパウロ事務所
2015年07月10日
食品表示義務に関する法令が改正され、アレルギー物質の表示義務が大幅に強化された。新たな表示義務の運用は2016年7月からとなっており、1年近い経過措置期間が設けられているものの、ブラジル向け食品輸出については早めの対応が必要となるだろう。
<小麦、甲殻類、卵など対象は広範囲>
7月3日、ブラジル国内で販売される食品に対する表示義務に関する法令が改正された。今回の改正は、国家衛生監督庁(ANVISA)が2014年6月から2ヵ月間、食品表示義務の見直しに係る関係法令の改正案について、意見を募集し(2014年7月2日記事参照)、これに一部修正を施した上で、7月3日付官報に告示された。
今回の食品表示義務の見直しは、食品に含まれるアレルギー物資の表示を明確にするのが狙いで、以下の「表示義務指定アレルギー物質」が含まれる場合は、製品にアレルギー物質として表示することが義務付けられる。
(1)小麦、ライ麦、大麦、オートミールおよびこれらの混合物、(2)甲殻類、(3)卵、(4)魚、(5)ピーナッツ、(6)大豆、(7)哺乳動物のミルク、(8)アーモンド、(9)ハシバミ(ヘーゼルナッツ)、(10)カシューナッツ、(11)ブラジルナッツ(カシューナッツの一種)、(12)マカダミアナッツ、(13)クルミ、(14)ペカン(ペカンナッツ)、(15)ピスタチオ、(16)松の実、(17)栗類、(18)天然ゴム
このうち「天然ゴム」については、食品の原材料という観点ではなく、製造工程の中で製品に紛れ込む可能性がある場合(例えば、製造工場で天然ゴム手袋を使用するなどの場合)に、その旨の表示を義務付ける。
<当局へのラベル登録は早めに対応を>
今回の改正で懸念されるのは商品ラベルだ。ブラジルに食品を輸出する際には、原材料や消費期限など所要事項を記載したラベル貼付が必要で、一部の商品は、そのラベルをブラジル当局に登録しなければならない(注)。しかし、輸出食品に表示義務指定アレルギー物質が含まれる場合、今後は新たにその旨の記載が必要になる。また、ラベル登録については、これまでも当局への登録には時間がかかり、事業者にとっては悩みの種だったが、今回の改正でいっときに大量のラベル登録が集中する可能性もあり、事務処理がいっそう遅延する可能性もある。従って、今回の改正には約12ヵ月の経過措置(2016年7月2日まで)が設けられているが、表示義務指定アレルギー物質の含有の確認など早めの対応が求められるだろう。
(注)ラベル登録が必要となるのは農務省(MAPA)所管の食品で、酒、肉、魚介類、野菜・果物類など。ANVISA所管の加工品についてはラベル登録不要。
(森下龍樹)
(ブラジル)
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