CLP規則の適用対象に、家庭用洗剤など混合物が加わる
(EU)
ブリュッセル事務所
2015年07月07日
EUでは6月1日、家庭用洗剤など、複数の化学物質からなる混合物に対する分類と表示、包装についての新しいルール(CLP規則)の適用が始まった。新ルールでは、製品の危険性を示す絵表示(ピクトグラム)が変更された。一方で、既に市販されている製品については2017年6月1日まで流通が可能だ。
<国際標準のシステムと調和>
EUでは欧州議会・理事会規則No1272/2008(CLP規則)が、化学物質とその混合物の分類(Classification)と表示(Labelling)、包装(Packaging)方法を定めている。混合物とは、複数の化学物質から構成されている製品を指す。
EU域内で化学物質または混合物を市販する製造者と輸入者、販売者は、CLP規則に従って分類、表示、包装を行う義務がある。同規則は2009年1月20日に発効し、化学物質については2010年12月1日、混合物に関しては2015年6月1日から適用が始まった。CLP規則は、EUの化学物質の分類および表示を国際標準である「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」と調和させることにより、消費者に適切なブラック ジャック webを提供し、化学物質と混合物のより円滑な流通を目指している。
<2カテゴリーを追加、絵表示も変更>
今回、混合物にCLP規則の適用が開始されたことによる主な変更点は以下のとおり。
○物質の危険性を示す分類に、新しく2つのカテゴリーが追加された。1つは、ガスボンベ(加熱した際に発火する可能性がある気体を含む場合)などに適用され、加熱した場合に爆発する可能性があるもの。もう1つは水で薄めて使用するペンキなどに適用され、長期的に健康に深刻な影響を与える可能性があるもの。
○物質の危険性を示す製品ラベルへの絵表示のデザインがGHSと調和された。具体的には、正方形の黄色を基調とした絵表示が、ひし形の赤線で囲んだ絵表示に変更された。
○混合物質に含まれる危険化学物質の分類で、分類基準や濃度制限などに一部変更があった。これらの変更は、既存の分類よりも厳しいものとなっている。
新旧の絵表示と、具体的な対象製品例は添付資料参照。
<市販の製品は2年間猶予>
化学物質の製造者や輸入者には、前述のとおり2010年からCLP規則が適用されている。今回の混合物への適用を受けて、今後は業務用製品だけでなく、塗料や家庭用洗剤のような消費者向けの製品に対しても、CLP規則に従った分類とラベル表示を行う必要がある。欧州化学物質庁(ECHA)によると、今回、CLP規則の混合物への適用が開始されたが、既存の古い絵表示を直ちに撤去する必要はない。2015年6月1日より前に包装されて市販された製品には2年間の猶予期間が設けられており、CLP規則に従った再表示や再包装をすぐにする必要はない。2017年6月1日以降については、2015年6月1日より前に市販された混合物も含め、CLP規則に準拠した製品でなければ、市場に流通できなくなるため注意が必要だ。
(大中登紀子)
(EU)
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