QIP認可企業は原材料輸入に限り特別税を免除

(カンボジア)

プノンペン事務所

2015年06月30日

 カンボジアの関税消費税総局は6月4日、2015年1月の税改定で導入したプラスチック製品や電気製品への輸入特別税導入について、QIP(QualifiedInvestmentProject:投資適格案件)認可企業は事前に輸入計画を申告した原材料に限り、当該特別税を免除すると通達した。これはカンボジア日本人商工会(JBAC)ほか、日系企業からの要望により実現したものだ。

<原則として業種にかかわらず認める>

 20148月の政令第239号により、108品目のプラスチック製品(半製品を含む)や155品目の電気製品に対し、201511日から輸入時に特別税10%が課されることになった。その後、カンボジアで最大の業界団体であるカンボジア縫製協会(GMAC)や一部の飲料製造企業からの要望を受けて、20153月の政令第393号で縫製関連業および飲料製造業については、指定の原材料輸入に対して特別税を免除することとした。日系企業では縫製業以外の、特にプラスチック部品を原材料として輸入する企業もあることから、JBACは縫製業以外のQIP認可企業についても免税を認めるよう要望書を提出していた(2015年5月1事参照

 こうした背景により、201564日に政令第758号で関税消費税総局長から特別税について内容の見直しが通知された。これによると、国籍、業種にかかわらず、輸出志向型のQIPに関する原材料の輸入およびそれを支援する企業(下請け企業など)については、事前に原材料輸入計画(マスターリスト)を提出し、関係機関から承認を受けた品目に限り特別税が免除となる。ただし、自動車、燃料用の油、その他、関係機関の承認を受けていない原材料の輸入については、免税は認められないとしている。

<日本人商工会の要望を実現>

 本見直しは、JBACの要望を実現するかたちで発表された。カンボジア国内における日本の直接投資額(QIP認可ベース、経済特区内外合計)は2013年が6位、2014年は5位だが、経済特区内の投資額は1994年から2014年の累計で1位となっている。これに加え、日本はいわゆる「つばさ橋」やシアヌークビル港の整備、法整備や人材教育への資金的・人的支援も行っている。カンボジア政府が日系企業の声を重要視している姿勢が、本措置へとつながった。

 日本大使館、JBAC、国際協力機構(JICA)、ジェトロとカンボジア開発評議会を筆頭に、現地の各省庁代表者が集まり、貿易、税務、労務など、投資に関わる課題・解決のために、現地のビジネス環境改善に向けた「日本カンボジア官民合同会議」を2009年から定期的に開催している。次回(第12回)は、2015729日に開催される予定だ。

(上田委枝)

(カンボジア)

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