現地市場に特化したドア・引き戸関連商品を開発−ASEAN市場に挑む中小企業(9)−
アジア大洋州課
2015年04月03日
建材部品メーカーの久力製作所(本社:茨城県行方市)のドア・引き戸関連商品はASEANでは珍しく、市場に特化した商品を開発・選定したところ地場の扉メーカーから引き合いを受けた。ASEAN市場開拓への取り組みについて、同社代表取締役の久力章喜氏に聞いた(1月27日)。
<ASEAN進出で経営の多角化目指す>
問:ASEAN進出の経緯と市場開拓の現状は。
答:従来、日本国内での住宅関連が売り上げの100%を占めていたが、多業種化と他国への進出により経営の多角化を図ることになった。また、円安傾向になることを予想していたため、3年ほど前にブラック ジャック ディーラー進出を決めた。製造拠点は中国にあり、中国国内で販売するケースも出てきた。日本からの輸出は、まだ実績が少ない。中国から日本への輸入は割合として大きいが、円安のため厳しい状況だ。
<現地の重いドアに合わせた商品を開発>
問:ASEANバイヤーの日本製品への評価・反応は。ASEANバイヤーが求めてくる製品の特徴は。
答:ドアクローザー(開いたドアをゆっくり閉める装置)を中心に展示会に出品したが、日本ほど認知されておらず珍しがられた。前回もドアクローザーを持ち込んだが、シンガポールのドアは日本の2倍程度の重量であることが判明したため、今回は重い扉に設置が可能なドアクローザーを開発した。
現在引き合いがきているのはシンガポールの扉メーカー。この会社の工場はシンガポールにあり、製造だけでなく、日本や中国のメーカーから仕入れた製品の販売も行っている。
問:ASEANバイヤーへの売り込みで工夫した点は。
答:前回は商品を偏りなく持ち込んだが、今回は東南アジアのバイヤーに関心がありそうな商品に絞った。前回反響のなかった商品や、ユニットバス関連商品やトイレ用の明かり窓など日本固有の商品は持ち込まなかった。逆に、ドアストッパー(ドアを開けたままの状態に保持する装置)などを持ち込んだ。
<インドネシア市場の開拓も狙う>
問:ASEAN市場開拓で直面した課題と対応策は。
答:商品に対する興味の有無が、人によって両極端である印象を受けた。また、引き合いがあったシンガポール企業は中国からの仕入れを希望していたが、ベトナム企業は日本からの仕入れを希望し、また日本製であることを明記してほしいと言われた。その際、漢字表記だと中国製と見まがう可能性があるため、英語表記にしてほしいとのことだった。
問:ASEAN市場開拓における今後の展望と事業展開は。
答:今後もシンガポールの国際建材展示会(BEX)があれば、ぜひ参加したい。現在引き合いが来ているシンガポールの企業はインドネシアをカバーしていない。インドネシアは日系、地場を問わず扉関連企業が多いため開拓したいと考えている。日系企業については50%程度がインドネシアに工場を有しているようだ。
当社のドアクローザーは木の扉を利用している住宅用だ。コンドミニアムの建設増加により重さ50〜60キロの扉の需要が増えると思うが、そのような扉はまさに当社が得意とする分野だ。
(板東辰倫)
(ASEAN・日本)
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