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欧州ロシアCIS課
2015年02月25日
1月1日のユーラシア経済連合(EEU)発足を受け、ジェトロは1月29日に都内の本部で、ユーラシア経済連合セミナー「ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの経済統合がビジネスに与える影響」を開催した。EEUの政策執行機関であるユーラシア経済委員会(EEC)からは、ギャンブル ゲーム 無料に対する強い関心や日本企業の参画が期待される分野が伝えられた。セミナーの内容を2回に分けて報告する。
<自動車部品企業のさらなる進出を期待>
セミナーの冒頭、EECで工業・農業分野を担当するセルゲイ・シドルスキー理事(ベラルーシ元首相)が以下のような基調講演を行った。
ロシア、ベラルーシ、カザフスタンに加えて新たにアルメニアが加盟し、EEUは1億7,500万人の人口を有する強力な経済圏となった。同経済圏は企業の投資によってさらに拡大が続くだろう。EEUの重要任務は圏内での労働力、サービス、資本、モノの移動の自由化だ。モスクワに本部を置くEECでは加盟各国から3人が理事として活動している。
EEU圏内で270億ドル規模のビジネスをしている日本企業に大きな期待を抱いており、企業の要望にはこれからも応えていきたい。特に自動車分野では、2015年中に30%、2018年中には50%まで現地調達率を上げることを目指していることから、自動車部品を扱う日本企業のさらなる進出を期待する。同分野では日本企業との合弁会社設立を希望する現地企業も多い。また、EEU圏内にはミンスクやモスクワ郊外のスコルコボなどに工業団地があり、税制面で優遇措置を受けることが可能だ。
これまでの協力分野に加えて、先端技術分野での日本との協力も促進していきたい。また、EEU加盟国企業の日本進出も強化したい。ロシア企業については石油製品分野、ベラルーシとカザフスタン企業については石油化学製品分野が有望と考えており、将来的には日本経由で東南アジアへの輸出も視野に入れている。
<機械工業中心に19の優先分野>
次いで、工業政策の動向および今後の域内の投資ポテンシャルについて、ウラジミル・マリツェフEEC工業政策局長が解説した。
EEUは2010年に関税同盟としてスタートした。2010〜2015年は統合の初期段階だが、既に3兆ドル規模の大市場が誕生している。執行機関であるEECは、各加盟国の重点産業育成に向けた制度面のモニタリングを担っている。産業協力の主要な方向性としては、第三国への輸出に向けたサポート、科学技術分野での協力、優先分野の発展政策の体系化、原材料価格低減に向けた環境整備などが挙げられる。
EECはギャンブル ゲーム 無料に非常に高い関心を有している。EEUでは機械工業を中心に19の優先分野があり、サービス分野では市場統合により年間貿易額が150億ドルずつ成長することが見込まれ、運輸市場の統一も計画されている。また、加盟国の2014年1〜11月の鉱工業生産は前年同期比1.8%増と、生産面からみても成長していることが分かる。日本企業にもぜひ関心を持ってほしい。
対日貿易関係については、日本からの輸入は減少傾向にあるものの輸出は伸びている。いずれも90%以上をロシアが占めている。輸入の85%が機械と医薬品で、輸出の80〜85%は石油および石油製品などの鉱物性燃料。EEUとして生産の現地化を進め、機械の輸入依存脱却を図ることが重要だ。
<各国の経済特区への進出呼び掛け>
法人登記の手続きは改善されており、基本的に5日で登記できる。カザフスタンでは1時間以内で登記することも可能だ。また、各加盟国において経済特区および工業団地の開設が進められており、輸入依存からの脱却を図っている。資産税・付加価値税(VAT)・輸入関税の免除、法人所得税減免などの優遇措置をぜひ活用してもらいたい。
ベラルーシでは2005年以降にハイテクパークを開設し、主にIT産業の活動拠点となっている。入居企業は法人所得税、VAT、土地税が免除されている。現在137社が入居しており、生産の88%が輸出向けとなっている。ロシアに関しては、優先的発展地区にも注目すべきだ。従来の経済特区以上の優遇措置が付与される見込みで、日本企業も利用可能だ。
各加盟国において日本企業によるプロジェクトが進行中だ。ベラルーシには東芝、丸紅など、カザフスタンには住友商事、トヨタ、東芝などが進出し、ロシアでは極東の石油・天然ガス事業であるサハリン1、サハリン2への参画のほか、医療、農業での協力も進んでいる。
<機械、医薬品、鉄道分野でも協力の可能性>
自動車産業は優先分野の1つであり、2020年時点で450万台の市場規模となると予測され、特に部品の現地生産が重視されている。農業機械は域内で40億ドルの市場規模であり、日本企業との共同生産を提案したい。金属加工は域内で5,000万トンを超える市場規模であり、日本企業とはイノベーション創出、共同研究開発での協力が可能だ。工作機械は23億ドルの市場規模だが、現時点で80%が輸入であり、日本企業との共同生産、共同研究開発を提案したい。
医薬品は250億ドルの市場規模であり、日本企業にとっては非常に大きな可能性がある。現地生産への協力、ハイテク機器の供与、共同研究開発などでの協力が望まれる。鉄道車両は年間10万両の生産規模で、日本企業との革新的な生産手法の開発、技術・運営面に関するソリューションの提供、共同研究開発を提案したい。
EEUに関する動向、ビジネス環境、優先分野などの情報については、今後も加盟国の大使館やジェトロを通じて日本企業に提供していく意向だ。
(大杉健一、田端義明)
(ロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア)
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