欧州委、GSP対象国に一部ACP諸国を追加−中南米8ヵ国は2015年末で卒業に−
ブリュッセル事務所
2014年10月16日
欧州委員会はコートジボワールなどアフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)諸国のうち8ヵ国を10月1日から一般特恵関税(GSP)対象国に加えるとともに、(ケニアを除く)7ヵ国を経済連携協定(EPA)による特恵的な市場アクセス対象国に復帰させた。EUとの自由貿易協定(FTA)の暫定適用が始まっている中南米8ヵ国については、GSPもしくはEU向け特別特恵関税(GSPプラス)の適用期限を2015年末とすることも決定した。
添付ファイル: 資料( B)
<ガーナなど7ヵ国はGSP対象国と同時にEPAの市場アクセス対象国に復帰>
EUは2013年5月21日付欧州議会・理事会規則(EU)No527/2013により、一部のACP諸国とのEPA〔2007年12月20日付理事会規則(EC)No1528/2007〕による市場アクセス対象国から2014年10月1日に外れる予定だったボツワナ、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ケニア、ナミビア、スワジランド、フィジーの8ヵ国について、2014年7月22日付欧州委員会委任規則(EU)No1016/2014を9月28日に発効させ、同日からGSP対象国とした。他方、ボツワナとナミビアは世界銀行の分類で、中高所得国に該当することから、2015年末でGSP対象国から外れることも併せて決定した。
ほぼ同時期に、上記8ヵ国からケニアを除く7ヵ国は、FTAを含む地域グループ別のEPAの締結に必要な措置を取ったとして、2014年7月25日付欧州委員会委任規則(EU)No1025/2014を10月1日に発効させ、同日から再度、一部のACP諸国に適用するEPAによる市場アクセス対象国とした。このため、これら7ヵ国は10月1日から、GSP対象国、およびEPAによる市場アクセス対象国の双方の便益を受けることが可能になった(添付資料参照)。欧州委はこうした経緯により、これら7ヵ国については、GSP対象国から再度、除外する欧州委委任規則の策定を検討しているという。
EUの特恵関税制度のうち、EU市場に武器以外の全ての製品を無関税で輸出できるEBA(Everything but Arms、武器以外の全て)が適用される後発開発途上国(LDC)以外の、あるいはGSP対象国もしくはGSPプラス対象国以外のACP諸国は、EU市場への特恵的なアクセス措置が9月末で失効することから、EUとのFTAを含むEPA交渉に合意し、批准手続きのために必要な措置を取ることを急いできた。GSP対象国に切り替える手続きと、FTAを含むEPA交渉に合意したとして、EPAの市場アクセス対象国に再度加える手続きがほぼ同時に進行した結果、ボツワナ、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ナミビア、スワジランド、フィジーの7ヵ国は10月1日からGSP対象国に切り替わると同時に、EPAによる市場アクセス対象国に復帰することとなった。
<EUとのFTA適用が始まった中南米8ヵ国は2016年1月からGSP対象外に>
一方、EUは9月27日、2014年7月22日付州委員会委任規則(EU)No1015/2014を官報に掲載し、EUとのFTAの暫定適用が2013年3月1日から始まっているペルー、同8月1日から始まっているコロンビア、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、同10月1日から始まっているコスタリカとエルサルバドル、同12月1日から始まっているグアテマラの計8ヵ国について、2016年1月1日からGSPもしくはGSPプラスの対象国から除外する規則が発効した。
FTAの適用が開始された国については、2年以上の移行期間を経て、GSPの対象国から除外することをEUのGSP規則〔2012年10月25日付欧州議会・理事会規則(EU)No978/2012〕の第5条2項(b)で定めている。欧州委は、これら中南米諸国のGSPステータスの変更に関する統一的な適用を確実に行うために今回の決定を下した。その結果、同8ヵ国は2015年末までは、GSPの適用と、EUとのFTAの適用という双方の便益を受けることが確実になった。ただし、2016年1月からはGSPもしくはGSPプラスの対象国ではなくなる。
(田中晋)
(EU・アフリカ・中南米)
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