日本産食品の輸入規制を見直しへ、東京と神奈川は解除に
ブリュッセル事務所
2014年02月25日
EUの食品連鎖・動物衛生常設委員会は2月20日、日本産輸入食品で放射線検査分析報告書の必要な品目と地域を見直すことで合意した。福島県の食品と飼料は引き続き検査が義務付けられるが、東京都と神奈川県の制限措置が解除され、群馬、茨城、栃木、宮城、埼玉、岩手、千葉7県の措置も緩和される。また、福島県以外の茶と牛肉については放射性物質検査証明書が不要となる。一方、秋田、山形、長野の3県には新たな措置が取られる。改正規則案は4月1日から発効する見通し。
<福島産品の検査は継続>
EUの食品連鎖・動物衛生常設委員会(SCoFCAH)は2月20日の会合で、日本産食品や飼料の輸入規制の見直すことで合意した。福島県から輸入される食品や飼料に対する検査などは継続される一方、他の都県に対する措置は見直された。
原発事故から3度目となる2013年の収穫期に収穫された8万5,000点以上のモニタリング検査結果に基づき、東京都と神奈川県に対する制限措置を解除する。また、群馬、茨城、栃木、宮城、埼玉、岩手、千葉の7県に対する措置を緩和する。静岡、山梨、新潟、青森の4県ではキノコ類に対する制限措置が継続され、長野および新たに対象となる秋田と山形の3県に対しては、キノコ類や幾つかの食用野生植物に制限措置が設けられた。輸入時の通関での抜き取り検査については頻度が引き下げられる。
<茶と牛肉の規制を緩和>
見直しの具体的な内容は以下のとおり。
(1)福島県からの食品および飼料について
基準値を超える食品や飼料が頻繁にみられることから、引き続き現行の放射性物質検査証明が求められる。
(2)東京都と神奈川県について
3度目の収穫期のモニタリング検査にて東京都および神奈川県の食品および飼料については、基準値を超える値は見つからなかったため、輸入規制措置の対象外とする。
(3)群馬、茨城、栃木、宮城、埼玉、岩手、千葉の7県について
キノコ類、魚および水産物、コメ、大豆、ソバ、タラの芽とその加工品、タケノコ、ワラビ、コシアブラ、クサソテツ、ウワバミソウ、ゼンマイについては、引き続き放射線物質検査証明書が求められる。これまで検査証明書が求められていた野菜、果物、畜産物、茶は対象外となる。
(4)秋田、山形、長野の3県について
キノコ類、コシアブラ、タケノコ、タラの芽とその加工品、ワラビについては、収穫物のモニタリング検査で基準値を上回るものが発見されたため、新たに放射線物質検査の対象とする。
(5)静岡、山梨、新潟、青森の4県について
キノコ類については、収穫物のモニタリング検査で基準値を超える値のものが幾つか発見されたため、引き続き放射性物質検査の対象とする。
(6)茶の取り扱いについて
モニタリング検査において基準値を超える値は発見されていないため、福島県以外の茶については放射線物質検査の対象外とする。福島県以外の都道府県からの茶については産地証明も対象外とすることが提案されている。
(7)牛肉の取り扱いについて
23万2,000件のモニタリング検査において基準値を超える値は発見されなかったため、従来、福島県および9都県(岩手県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)からの牛肉に求められていた放射性物質検査証明について、福島県以外は不要とする。
今回の措置は、2014年の収穫期のモニタリング検査結果に基づき2015年3月末までに見直される予定。この改正規則案は、欧州委員会の正式採択を経て官報に掲載され、4月1日に施行される予定だ。
(小林華鶴)
(EU)
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