日本産食品の輸入規制緩和の運用方針整う−ドバイに続き、アブダビでも−
ドバイ事務所
2012年11月15日
アラブ首長国連邦(UAE)環境水資源省から出された、日本産食品輸入に関する放射性物質検査の規制緩和通知(2012年1月12日付)を受け、主要港を管轄するアブダビ首長国およびドバイ首長国において規制緩和の運用について日本との間で協議が続けられていた。ドバイで7月に運用方針が合意されたのに続き、10月30日にはアブダビでも方針がまとまり、運用が開始された。その内容と、ドバイとの違いを紹介する。
<輸入規制の内容:対象地域はドバイと同様>
日本からの食品の輸入に関して、生鮮食品を含めた条件は以下のとおり。
(1)放射性物質検査証明書の提出が義務付けられる対象地域:ドバイと同様
岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、山梨、長野および静岡の「15都県」産の食品(原材料含む)については、あらかじめアブダビによって認められた日本国内の所定の検査機関にサンプルを提出し、放射性物質検査証明書の発給を受ける必要がある。
(2)産地証明の提出が義務付けられる対象地域:ドバイと同様
「15都県」以外の産地の食品(原材料含む)については、産地を証明する書類を最寄りの都道府県または農政局などの担当部局に申請し、産地証明書の発給を受ける必要がある。ただし、アブダビにおいては、各商工会議所が発行する産地証明書による輸入も認められている。
<輸入規制の運用:商工会議所の産地証明でもOK>
上記(1)については、ドバイと同様に、アブダビ政府側に登録した検査機関「アブダビ首長国向けに輸出される食品に係る放射性物質検査機関一覧」の中から選定し、同機関の発行する放射性物質検査証明書を取得する必要がある。その証明書において、輸出する食品がUAE政府の定める放射線物質基準を満たす場合に同国への輸入が許可される。なお、同検査機関一覧は農林水産省のウェブサイトに掲載されている。
また、上記(2)についても、基本的にドバイでの運用と同様で、水産物および水産加工品については、農林水産省水産庁(漁政部加工流通課水産物貿易対策室)が担当し、産地証明の発給がなされる。その他の農産物・加工食品などについては、農林水産省の地方農政局などの支部局など、または15都県以外の道府県の担当部局(食品の分類により産地証明の申請先が分かれている)にて食品の産地および加工食品の食材全ての産地が分かる必要書類の提出により産地証明の発給がなされる。
さらに、アブダビにおいては、これら政府機関によるもののほかに、各商工会議所発行の産地証明書による輸入も認められており、産地証明書の様式も任意となっている。この産地証明の発給元にかかる部分が、ドバイの運用と大きく異なる点だ。また、産地証明の様式は、農林水産省のウェブサイトに掲載されているドバイに提出されている様式も受け入れ可能となっている。
なお、ドバイにおいては、何らかの理由により、15都県以外という産地証明ができなかった(申請をしなかった)場合でも、当該食品の放射性物質検査証明書の発給を受け、当国の定める基準を満たす場合には当国への輸入が認められていたが、アブダビでは、産地証明書が添付されない場合には輸入が認められないことに留意しなくてはならない。
(栗栖輝光)
(アラブ首長国連邦)
ビジネス短信 50a43a16ebd70