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メキシコ発
2012年06月18日
経済省は6月12日、「貿易に関する一般規則・基準を定める経済省令」(「経済省貿易細則」)の第32次改定を官報公示し、2010年12月に公示された「輸出製造業・マキラドーラ・サービス業振興政令」(「IMMEX政令」)の改定に基づく鋼材の一時輸入規制強化の対象を明らかにした。これによると、IMMEXを用いた鋼材の一時輸入滞留期間の18ヵ月から9ヵ月への短縮は、鋼材を一時輸入して鋼材として再輸出する企業だけが対象となり、自動車部品などに加工して再輸出する企業には、従来どおり18ヵ月の滞留期間が認められると明文化された。
添付ファイル: 資料( B)
<日本側の要望が反映される>
この改定は、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)のビジネス環境整備委員会で、メキシコ日本商工会議所などが要請していた内容を反映している。
IMMEXプログラムは、製品輸出を条件に輸出製品製造のために使う部品、原材料、機械設備の一時輸入(関税・付加価値税の支払いを保留した状態の輸入)を認めるというもの。2010年12月24日に官報公示されたIMMEX政令の改定に基づき、鋼材はセンシティブ品目に指定され、ブラック ジャック トランプ 無料18ヵ月から9ヵ月に短縮された。また、11年3月23日付官報で公示された経済省貿易細則第25次改定に基づき、鋼材を一時輸入する際の特別な規制と要件が明らかにされた(2011年3月28日記事参照)。
現行政令の文面では、ブラック ジャック トランプ 無料9ヵ月(IMMEX政令第4条I項)となっている。しかし、メキシコ日本商工会議所やジェトロ、在メキシコ日本大使館との会合で経済省担当官は、一時輸入滞留期間の短縮について「鋼材を一時輸入する企業でも、自動車部品などに加工して再輸出する企業に対しては、期間を短縮しない」という方針を示していた(2011年4月6日記事参照)。
しかし、政令や経済省貿易細則の規定を読む限り、「センシティブ品目の一時輸入滞留期間の短縮」(IMMEX政令第4条)の例外として解釈されるのは、国税庁(SAT)税関総局に認められた「認定企業」だけで、一時輸入滞留期間短縮の対象から鋼材以外の製品に加工する企業が除外されることは、当時は政令にも細則にも規定がなかった。実際、経済省内にも「ブラック ジャック トランプ 無料、認定企業を除き9ヵ月で統一される」という見解や、「政令で9ヵ月と書いてある限り、9ヵ月が適用される」という見解があり、担当者によって異なる解釈が示されていた(2011年3月28日記事参照)。
あいまいな規定内容では、SATがIMMEX企業の通関監査を実施した際、SAT査察官から9ヵ月以上の滞留期間を違法と指摘される危険があるため、メキシコ日本商工会議所やジェトロは日墨EPAビジネス環境整備委員会で、1年以上にわたって一時輸入滞留期間例外措置の明文化を求めてきた。今回、それがようやく実現したことになる。
<スクラップの取り扱いも明確に>
今回の経済省貿易細則第32次改定は、IMMEXのセンシティブ品目に関する取り扱いについて、主に以下の内容を盛り込んでいる。
(1)鋼材(政令別添I-Ter)の一時輸入滞留期間短縮(18ヵ月→9ヵ月)対象の明確化(第3.3.18則I項)
(2)繊維製品(政令別添III)の一時輸入滞留期間短縮(18ヵ月→12ヵ月)対象の明確化(第3.3.18則II項)
(3)加工工程でセンシティブ品目(政令別添I-Bis、I-Ter、II、III)のスクラップが発生することを理由に規制強化の対象とならないことを明記(第3.3.19則)
(1)については、追加された第3.3.18則I項で、「IMMEX政令別添I-Terに掲載された関税分類(HS)コードに分類される商品について、9ヵ月の一時輸入滞留期間が適用されるのは、同別添文書の関税分類コードの下で一時輸入され、再輸出される商品のみ」と規定された。
つまり、自動車用金属プレス部品メーカーなどが、別添I-Terに掲載されたHS72類の鋼材を一時輸入し、HS72類とは異なる製品(例えばHS8708項の自動車部品)として再輸出した場合、一時輸入滞留期間は9ヵ月ではなく18ヵ月だ。
(2)についても同様に、別添IIIに掲載された繊維製品を一時輸入した際に、一時輸入滞留期間が18ヵ月から12ヵ月に短縮されるのは、「HS50〜63類の繊維・縫製品、あるいはHS9404.90号の寝具を生産するために用いられ、繊維・縫製産業に属する企業が一時輸入する場合のみ」と規定された。つまり、自動車部品(座席部品や内装品)などを製造する企業が別添IIIに掲載された繊維製品を一時輸入した場合は、その滞留期間は12ヵ月ではなく18ヵ月だ。
(3)については、センシティブ素材(繊維製品や鋼材など)を一時輸入して、センシティブ品目以外の製品(自動車部品など)に加工する企業が、その生産工程の中でセンシティブ素材のスクラップ(鉄スクラップなど)を発生させる場合、そのスクラップを加工後の輸出製品として登録する必要はなく、センシティブ品目を扱う企業としての規制強化(一時輸入数量枠の設定など)の対象とならないことが明文化された。
つまり、鋼材を加工して自動車部品を製造する企業は、自動車部品のほかに鉄スクラップを発生させるが、その企業にとって鉄スクラップは輸出製品ではないため、センシティブ品目を扱う企業としての規制強化の対象とはならないことが明確となった。
<コイルセンターなど「サービスIMMEX」が規制対象>
今回の経済省貿易細則第32次改定の官報公示により、2010年12月24日付官報で公示された、IMMEX政令改定に端を発する鋼材に関する輸入規制強化の内容が、法的に明確となった。鋼材に関するIMMEX政令改定の概要は以下のとおり。
(1)ブラック ジャック トランプ 無料、鋼材を一時輸入し、鋼材として再輸出する場合だけ18ヵ月から9ヵ月となる。ただし、SAT税関総局に「認定企業」として登録されている企業は、滞留期間短縮の対象外となる。
(2)鋼材を一時輸入し、鋼材として再輸出する企業は、経済省貿易細則第3.3.1〜3.3.6則が定める特別な手続きを行う必要がある(2011年4月6日記事参照)。ただし、「認定企業」の場合、特別な手続きは不要。
(3)サービスIMMEX形態でIMMEX登録された企業は、鋼材を一時輸入することができない。ただし、IMMEX政令改定の発効時点(11年3月24日)で、鋼材を一時輸入することが認められていたサービスIMMEX企業および「認定企業」は、従来どおり鋼材を一時輸入できる。
鋼材を一時輸入し、鋼材のままで再輸出するIMMEX企業とは、IMMEX登録を持つ輸出製造企業に保税で鋼材を小口供給する鉄鋼商社や倉庫業、大きな鋼材を一時輸入して切断した上で小口販売するコイルセンターなど、サービス(商品の供給・貯蔵・分配業)形態で登録されたIMMEX企業だ。
(1)〜(3)をみると、IMMEX政令改定による鋼材の一時輸入規制強化は、もっぱらサービスIMMEX企業を対象としており、鋼材を原材料として一時輸入し、別の製品の製造のために使う工業IMMEX形態の企業は規制強化の対象外となる。
サービスIMMEX登録企業が規制強化の対象から外れるためには、SATに「認定企業」として登録される必要があるが、この規制を回避する目的だけであれば、物流セキュリティーにおけるコンプライアンスが認められた「L」要件の「新認定企業スキーム(NEEC)」である必要はなく、「B」や「D」など従来の「認定企業」でよい(2011年12月26日記事参照)。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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