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(ベトナム・ホーチミン発)
2023年10月30日
21世紀の国際的な人口問題として国ごとに異なるレベルで進行する高齢化が挙げられるが、ベトナムも例外ではない。高齢化は社会経済情勢に影響を与える課題としての側面のみならず、ヘルスケアサービスや高齢者向け製品の発展の機会をもたらす側面もある。後者に着目すると、高齢化社会であるベトナムでも高齢者支援用品・サービスに対する需要は高まりつつある。供給側の状況としては高齢者支援施設※1の増設が進み、それに伴いサービスの質も向上しながら多様化している。需要側の状況としては生活の質が向上し、定年を過ぎても働き続ける高齢者が増え、高齢者支援用品に対する支出意欲も高まってきている。国としては先進国以上に急速に向かう高齢社会に備えるための十分な時間がない状況にある。製品の分類をみると、ベトナムの高齢者支援用品は主に福祉用具や栄養補助食品として生産されているが、販売されている製品の種類は実のところ多様ではなく、移動支援機器、医療機器、オムツ、ミルク、健康食品、医薬品、衣類などの多様な製品に以前よりも成長の機会があると考えられる※2。
- ※1
- 高齢者向けのサービスを提供する施設(老人ホーム、病院、リハビリテーションセンターなど)
- ※2
- 出典:Tuyen Giao(ベトナム共産党中央宣伝部の雑誌)の記事「ベトナムにおける高齢化の課題(2021年5月31日)」
1. 市場概要
1.1 人口
ベトナムは2011年に高齢化社会(高齢者人口比率7%以上)に突入した。これは主に合計特殊出生率の低下(1989年が「3.80」、2019年が「2.09」)と平均寿命の延び(1989年が65.2歳、2019年が73.6歳)によるものである。また、ベトナムは世界的にも高齢化のペースが速く、倍加年数(高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの年数)で比較するとフランスが115年、スウェーデンが85年、中国が25年、シンガポールとタイが22年であるのに対し、ベトナムは19年(2020~2039年)と短く喫緊の課題となっている 。※3
- ※3
- 出典:United Nations ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)のレポート「AGEING IN ASIA AND THE PACIFIC(2017年3月8日)」
出典:Bo Tai Chinh(ベトナム財政省の電子情報ポータル)※4
- ※4
- 出典:Bo Tai Chinh(ベトナム財政省の電子情報ポータル)の記事「ベトナムの高齢化傾向と金融政策の課題(2021年6月21日)」
1.2 需要
ベトナム人の平均寿命は約74歳と延びているが、その健康寿命は約64歳にとどまる。実に10年前後にわたって健康上の問題を抱えながら日常生活を送っていることになる※5。National Geriatric Hospital(ベトナム国立老人病院)の専門家は「平均すると、高齢者は一人当たり少なくとも3つの病気(糖尿病、高血圧、変形性関節症、パーキンソン病、認知機能低下、脳卒中など)を患っている」と述べている※6。GSO(ベトナム統計総局)の調査(図2)では2019年の高齢者の運動機能と身体活動は10年前に比べてどちらも向上していることが分かったが、その変化は小さく、高齢者の約26%が基本的な移動に困難を抱えるなど、特に移動の面で様々な器具や設備による支援を必要とするようになってきている。
- ※5
- 出典:Nhan Dan(ベトナム共産党の中央機関紙)の記事「ベトナム人の健康寿命はまだまだ短い(2022年9月11日)」
- ※6
- 出典:Voice of Vietnam(ベトナム国営ラテ兼営局)の記事「高齢者は少なくとも3つの病気を患っている(2022年11月12日)」
出典:GSO(ベトナム統計総局)※7
- ※7
- 出典:GSO(ベトナム統計総局)のレポート「Population Ageing & Older Persons in Vietnam(2021年7月)」
高齢者支援用品は次のように分類される。
- 移動支援機器:杖、歩行器、シルバーカー、車椅子、運動器具、マッサージチェア・ベッドなど
- 機能支援機器:補聴器、眼鏡、ネックブレースなど
- 健康監視装置:血圧計、血糖値測定器など
- 日常生活用具:オムツ、医療用ベッドなど
- 飲食料品:御粥、飲料、ミルクなど
- 栄養補助食品:栄養補助食品、医薬品など
- その他:抗潰瘍エアマットレスなど
高齢者の支援施設や支援用品の増加に伴いそのサービスにも注目が集まりつつある一方、増え続ける需要に対応が追い付いていないのが現状である。全国に63の病院や医療センター※8があるものの、熟練した人材やインフラの不足により患者の需要の15~20%しか満たせていない※8。
- ※8
- 高齢者のみでなく移動に関連した障害のある若者にもサービスを提供している
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- 出典:Suc Khoe & Doi Song(ベトナム保健省の電子新聞)の記事「リハビリテーションサービスの質の向上(2023年6月11日)」
1.3 消費行動・認識
高齢者は習慣や口コミ(知人からの勧め)で消費する傾向があり、購入時には成分や使用方法、価格を気にする傾向がある。さらに、販売員からの熱心なサポートも必要とする。また、Kantar Worldpanel(英国のマーケティング会社)のCommercial Director(Mr. Nguyen Huy Hoang)によると、「高齢者はシンプルで安全かつ使いやすいものを好み、新しいものよりも以前使用したことのあるものを優先する傾向がある」とのこと※10。パッケージでは原産地や原材料などの情報が明記されているものに安心感を覚え、コンパクトでリーズナブルな価格のものを好む傾向があるようだ。高齢者に特に求められているものとしては健康、美容、アンチエイジング、ホームエクササイズ、ホームエンターテイメントをサポートする製品である。
購入チャネルではオンラインを利用する高齢者も増えつつある。Data Reportal(シンガポールの調査会社)の調査(対象:55~64歳のインターネットユーザー)によると、2021年1月に少なくとも1回オンラインで購入した高齢者の割合は約75%に達したとの結果が出ている※11。
高齢者はより活動的になり、より長く働き続けるようになるなど、徐々に現代の生活に適応しつつある。自分のニーズを優先するようになり、徐々に子どもへの依存を減らしている。さらに、健康、ライフスタイルに関する情報とテクノロジーを追い求め、自身の生活の質を向上させている。このことから、これまで病院や医療センターで求められていたものとは異なるものへの関心も高まっていくことが予想される。
- ※10
- 出典:Brands Vietnam(マーケティング・ブランディングコミュニティ)の記事「高齢者向け市場への迅速な対応(2019年1月10日)」
- ※11
- 出典:Data Reportal(シンガポールの調査会社)のレポート「DIGITAL 2021: VIETNAM(2021年2月)」
2. 競争環境
2.1 市場規模・成長予測
人口に占める高齢者の割合の増加に伴い高齢者支援用品に対するニーズも増加することから、市場規模はこれから伸びていく。ベトナムは2019年に高齢者(65歳以上)の総人口に占める割合が約12%となったが、2036年までに高齢化社会(高齢者人口比率7%以上)から高齢社会(同14%以上)に移行し、2050年までに同25%以上に達すると予測されている※12。
GSO(ベトナム統計総局)の調査(図3)によると、高齢者(60歳以上)の数は2009年から2019年にかけて約53%増加している。年代別の増加率では60歳代(60~69歳)が約91%増加と最も大きく、次いで80歳以上が約42%増加である。
- ※12
- 出典:UNFPA(国際連合人口基金)のWebサイト「WHAT WE DO: Ageing」
出典:GSO(ベトナム統計総局)
2.2 国内生産、輸入状況、主要プレーヤー
国内企業にとって生産における高齢者支援用品の優先度は低い。というのも、ベトナムで主要な消費者層である「子ども」、「ミレニアル世代(1980~1998年生まれ)」、「Z世代(2000年以降生まれ)」に比べると高齢者は大きな人口層を構成しておらず、消費額もそれほど多くない可能性があるためである。つまり、ベトナム国内での高齢者支援用品の生産、供給は限られている状況にある。具体的には、多くの人に馴染みのあるごく一般的な福祉用具(PhaNa、Lucassなど)や紙オムツ(Carynなど)などは国内で生産されているものの、高齢者の栄養や健康に対するニーズに応える製品やブランドの数は少なく、粉ミルク、すぐに食べられる御粥、糖尿病患者向けの食品など、いくつかの選択肢があるだけで広く知られているわけではない。
高齢者支援用品の専門店(Gia Bao Minh、Son Ha Equipment Supplyなど)も少ない。栄養補助食品はスーパーや個人商店で食品や日用品と一緒に販売されていることが多く、福祉用具は医療機器の専門店で高齢者に限らずあらゆる年齢層向けに販売されている。輸入品(Omron、Onetouch、Ensureなど)はハイテク機械・器具(健康監視装置、美容機器、栄養補助食品などを含む)が主である※13。なお、ベトナムでは複雑な電子パネルを活用したスマートデバイスはハイテク製品とみなされているが、高齢者向けの機能性製品は注目され始めたばかりのため、多様性が乏しいと考えられている。
このようなベトナム国内の事情に伴い高齢者支援用品の市場は伸びており、この機を捉えた一部の企業は大きな成長を遂げている。市場全体の成長率も約6~7%であることに加え、パック食品や栄養ドリンクなどの品目は約12~13%の成長率を示している。例えば、粉ミルクは同約19%の増加、すぐに食べられる御粥は同約25%の増加、無糖・低糖乳製品は同15%以上の伸びである。大人用紙オムツにいたっては同約70%の増加と目覚ましい伸びを示している※14。
- ※13
- 例えば、PhaNa Manufacturing Trading(1992年設立)は理学療法と作業療法の分野の輸入機器の設計、製造、販売におけるリーディングカンパニーとして知られる。設計・製造では「理学療法・機能リハビリテーション機器」、「障害者・高齢者用機器」、「福祉機器・医療機器・病院用ベッド」の3つのカテゴリー、販売では「理学療法、機能リハビリテーション機器」、「伝統医学」、「整形外科」、「ヘルスケア機器等」の4つのカテゴリーを取り扱う。
- ※14
- 出典:Doanh Nghiep Hoi Nhap(中小企業協会)の記事「高齢者向け市場への迅速な対応(2020年10月12日)」
3. 参入時のアドバイス・留意点
3.1 関連規制(ベトナム保健省の方向性)
ベトナム政府は2012年に「高齢者国家行動計画(2012~2020年)」を策定した。高齢者の役割の強化、支援の質の向上を目的とし、医療、社会的支援、住宅、アクティブ・エイジングの促進など様々な分野で具体的な目標を設定していたが、高齢者とその悩みに焦点を当てたものは最近になってようやく取り組み始めたというのが実情である。また、他の東南アジアではタイが1982年、マレーシアが1995年、フィリピンが1999年から政策を打ち出すなど早くから高齢化対策に取り組んでいる一方、ベトナムは初めて政策を打ち出したのが2005年と出遅れている※15。ベトナムでは高齢化があまりにも急速に進行しているため、生産やサービスが現在のニーズに適応しきれずにいるが、年金給付水準については消費者物価指数(CPI)と経済成長率(GDP)に基づき特定の時期に応じて定期的に調整されている。
- ※15
- 出典:UNFPA(際連合人口基金)のレポート「Towards a Comprehensive National Policy for an Ageing Vietnam(2019年3月)」
3.2 潜在的なセグメント
高齢者支援用品市場の成長率は近年著しいが、高齢化のペースが国内の生産能力を上回っているため、市場参入の余地は残っていると考えられる。移動支援機器を除けば、健康監視装置(健康状態をモニタリングするためのハイテク機器)や日常生活用具(高齢者の日常活動をサポートする製品)は現在のベトナム市場で不足していることから、同製品のベトナム輸出を検討していくこともできる。また、高齢者向けの栄養補助食品も多様性に乏しく、国内生産ではあまり注目されていない。健康維持のために口にするものを重視する人が増えているなか、同分野への投資は重要であるといえる。大人用紙オムツに対する需要の顕著な伸びも見逃せない。高齢者支援サービスに目を向けると、特に創傷・潰瘍の治療、経管栄養、呼吸ケアなどの日常の活動支援や健康観察ではデジタルを活用した遠隔支援や患者の家族に対する支援なども求められるが、専門職の労働力が需要に対して十分に応えられていないのが実情である。
- 作成
- ジェトロ・ホーチミン事務所
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- 本レポートはカジノ ゲーム 無料(ジェトロ)ホーチミン事務所が委託先であるB&Company Vietnamに作成委託し、2023年11月に入手した情報に基づき作成したものです。掲載した情報は作成委託先の判断によるものですが、一般的な情報及び解釈がこの通りであることを保証するものではありません。本レポートはあくまでも参考情報の提供を目的としており、提供した情報の正確性、完全性、目的適合性、最新性及び有用性の確認は読者の責任と判断で行うものとし、ジェトロ及びB&Company Vietnamは一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロ及びB&Company Vietnamが係る損害の可能性を知らされていても同様とします。
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